「配活」もいいけれど、希望外の配属や異動・転勤もサラリーマンの醍醐味である

2014.6.19  356Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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「配活」ってどうなのか?



突然ですが、皆さん、「配活」に取り組んでいますか?
「配活」王とは何か?希望の配属を叶えるための活動です。
総合職として採用された場合、配属先の部署・職種の希望が必ず通るわけではありません。
部門別・職種別採用や、地域限定総合職、一般職の場合、配属先はある程度は決められているわけですが、とはいえ、その中での細かい希望(例えば、同じ営業でも◯◯業界担当の部署に行きたい、など)は、必ず通るとは限らないわけです。

そこで、「配活」です。
希望通りの配属を勝ち取るために、アピールできる材料を増やしたり、配属先の部署のことを研究したり、そのために人脈作りも兼ねてOB訪問をしたり、配属の鍵を握っている事業部長や人事にアピールしたり、希望部署でアルバイトやインターンをさせてくれとお願いしたり...。
いじらしいと言えばそれまでですが、彼らなりに必死なわけです。

私が、「配活」という言葉を初めて聞いたのは、2013年の春でした。
当時、大学院の修士課程2年に通っていた私ですが、たまたま学内での大学4年生たちの会話が聞こえてきたのでした。
そこで「配活」という言葉を知ったのです。
ネットで検索してみると、沢山ではないですが、それなりに使っている人がいたのでした。
もっとも、「配活」という言葉が生まれたのは最近ですが、この行為自体は以前からありました。
前述した通り、配属先は自分だけでは決められないこともあり、最大限、自分の希望が通るように努力するわけです。
企業によっては、最初の配属で、カンパニーがわかれ、その後はあまり動けないなんていう場合もありますから、真剣になるわけです。
こんなこともあり、最近では配属先が約束される制度が支持を集めています。部門別・職種別採用などです。
ただ、希望が通るという意味では嬉しいのですが、これは本当に内定者にとって良いことなのでしょうか?


突然、飛ばされるのはサラリーマンの悲哀か醍醐味か



キャリアというのは意図と適応です。
自分で構想する部分と、偶発的なものに適応していくことにより形成されます。
特に新卒での最初の会社、仕事というのは、自分でも希望を伝えつつ、会社に配属を委ねる、その偶然にまかせてみるというのもひとつの手だと思います。
もちろん、中にはいい加減な会社もあるわけですが、自分だけでは分からない適性というものもあるわけで。
希望外の配属で、嫌になってしまう人もいることでしょう。

ただ、それは実は自分では考えもしなかったけれど、合っている仕事なのかもしれません。
サラリーマンを3社で15年やったわけですが、希望外の配属、異動・転勤は、好きか嫌いかでいうとたいてい嫌でしたが、結果として自分の可能性を広げてくれたと言えます。
特に最初の配属先での2年にわたる営業経験でビジネスの基礎を学びましたし、名古屋に転勤し合弁会社の立ち上げに関わった際は新しい環境に適応すること、ビジネスの立ち上げ方を学びました。
特に少し大きな企業の場合は、異動などによって自分のできることと人脈が増えていきますし、自分の適性に気づくこともできるわけです。

というわけで、最初の配属が通ったか通らないかで焦るのもいいのですが、自分の希望どおりにならないことで悲観することもないことに気づきましょう。
NYで、海外転勤でこちらにきた人たちと食事しつつ、そんなことを考えた次第です。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。