峯岸みなみ丸坊主謝罪報道で考えた普通のサラリーマンの責任の取り方

2013.2. 1  8446Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




峯岸みなみが丸坊主で謝罪していたのだけど






今日のTwitterのタイムラインはAKB48の峯岸みなみさんの丸坊主謝罪ネタでいっぱいでした。
すべてのニュースをキャッチアップしているわけではないのですが、要するにお泊り騒動の謝罪のために丸坊主にしたというわけですね。
衝撃的でありつつ、賛否両論をよんでいます。
まあ、そもそもの「恋愛禁止」という規則自体、どうなんだという声もありますが。


AKB48や、中でも峯岸みなみのファンにとっては衝撃的でしたし、複雑な心境になったことでしょう。


実は私、AKB48のことは詳しくありませんし、ファンかというと、ベスト盤的なアルバムを何枚か買ったのと、彼女たちのことを考察した批評本を何冊か読んだくらいです。
つまり、門外漢なわけで、この手のことについてコメントすると炎上したりするわけなのですが...。
ここは大人視点、しかも普通の企業社会視点で「謝罪」という行為について考えてみたいと思います。
まあ、この時点で芸能人の世界は違うわけですから、あくまで「こんな見方もあるんだ」ということで、考えてください。


私個人の見解としては、本人の意図はともかく、結果から言うならば、これは謝罪になっていないのではないか、と。
むしろ、正当化でしか、ないのではないか、と。
一番得をしたのは、峯岸みなみとAKB48ではないか、と。


前述したように、「恋愛禁止」ということについて、私は首をかしげるわけですが...。
ここでは、組織内での「規則を破った」「(ファンを中心に)世間を騒がせた」という二つの「罪」についての、謝罪になっているかどうかで考えたいと思います。


ここでポイントとなるのは、「何を問題だと捉え、謝罪するのか」「経緯の説明がしっかりされているか」「解決策、再発予防策が明確か」「相手に誠意が伝わるか」です。
何より、「自分が悪かった」と認めることが大事かと。


私も映像を見ましたが、騒動に対する謝罪であること、涙ながらに誠心誠意で語りかけていること、自分が悪いと言っているという点では、十分な「謝罪」だったといえるでしょう。
「AKB48のメンバーでいたい」という台詞には魂を感じました。


ただ、やや冷たいようですが、気がかりだったのが、一つは事務所やメンバーにも相談せずに坊主にしたということです。
まあ、そこまでして誠意を伝えたかったとも言えるのでしょうけど、これこそお泊り騒動同様に軽率な行動だったのではないか、と。
CMなどで契約している関係筋にはどう説明するのでしょう。
さらに、これもまた言えないことが多いのでしょうけど、経緯説明と対策が具体的でなかったという点も気になりました。


さらに言うならば、結果として、AKB48と峯岸みなみがますます話題になってしまったのですね。
女性が坊主になるというのはよっぽどのことなわけで。
...昔、女子プロの髪切りデスマッチをハラハラして見ました、そういえば。
それこそ、お泊り騒動以上に、峯岸みなみが坊主になったことが話題になってしまって、そもそも謝罪だったのかくらいの広がりを見せています。


結果論とはいえ、どうなんでしょう、これ。
いや、もともとのお泊り騒動を吹き飛ばしたという意味では効果的な対策だったかもしれませんが。


なので、「大人の世界」の「謝罪」としては首をかしげたわけです。


a1380_001053.jpg






サラリーマンの謝罪は、相手の立場で考える






さて、この連載は就活生向けのコラムなので、ここから学ぶべき教訓というか、今後、就活で社会人と会う際に、また実際に社会に出た際に気をつけるべき謝罪のルールについて考えたいと思います。


人のせいにしないこと、相手の立場で考えること、これが大事ですねえ。


私、大学の非常勤講師ということもあり、また、セミナーや取材などで学生と会う機会がよくあるということもあり、その中で学生から謝罪されることがよくあるわけです。
最近、よく起こったことで言うならば、レポートの締め切りをすぎてしまったことについての謝罪などですね(ルールに基づいて対応しますけど)。


その際にカチンとくるのは、明らかに自分(ここでは学生)に非があるのにも関わらず、私は悪くないという姿勢でこられることです。
「締め切りを忘れていた」「提出締め切り時点に他の講義があった」とかもっともらしいことを何人かの学生から言われたわけですし、まあ、毎シーズン言われるわけですが...。
それはあなたの責任でしょ、と。
講義が重なっているなどということも、それを考慮して締め切りに向けて進めるべきで...。
というわけで、なんでもすぐ謝ってしまうのは日本人の悪い癖だと言われているものの、一方で「私は悪くありません!」という臭いがプンプンしてもいけないなあと思うのです。


まあ、繰り返しになるので、詳しくは書きませんけど、何に対する謝罪か、経緯説明がされているか、解決策・再発予防策が明確か、誠意が伝わるかが大事ですな。
誠意が伝わるかに関していうと、伝え方が大事ですねえ。
社会に対する謝罪はまた別ですが、個別の問題なら、メールより電話、電話より会いにいくのが大事かと。
もちろん、まずはスピードが大事なので、すぐコンタクトのとれる手段でいいのですけど。


就活中も、自分では悪気がなくても相手を不愉快にしてしまうことがあるかと思います。
いや、社会人になったら、それこそ、不祥事というのはなかなかなくても、何らかのミスや、自分の責任だけでなく他部署や取引先の関係での納期遅れ、何のミスもないものの期待するほどの成果が出ないことなどについて謝罪や経緯説明をする機会はよくあります。
謝罪はなかなかしたくないものですが、するなら納得感のあるものにしたいですね。


そんなことを今回の騒動で考えていました。


そうそう、最新作が出ましたよ。
自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術 』(日本実業出版社)です。




ノマドと言いつつ、仕事をするうえで大切にするべきことを書いた本です。
むしろ、会社員や学生の方にウケる本ではないかと思ってます。
今回の件のような、大人のルールもいっぱい書いてますよ。ぜひ、手にとってください。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。