「自分はのんびり屋だと思っているあなたへ」企業社会でどう生き残るか?

2012.5.25  44894Views

みなさん、こんにちは。常見陽平です。




「のんびり屋の自分は、やっていけるのか?」






先日、中央大学で講演しました。


キャリアに関する講演です。
1年生から4年生を対象に、キャリア形成のヒント、大学生活の過ごし方について話しました。
300人近くが集まり、大盛況でした。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。


終了後は質問会。
今年もたくさんの質問が出ましたが、その中で「よくぞ聞いてくれた!」という質問がありました。


「自分はのんびりしている方なのですが、社会に出てやっていけるのでしょうか?」


こんな趣旨の質問でした。
この手のイベントは「気の利いた質問をしなくちゃ」「意識の高い質問をしなくちゃ」という場の空気があるものなのですが、大人数の前でこの質問をするというのは勇気がいることですよね。
ありがとうございました。


いや、こんなことで悩んでいる人って、実は多いのではないでしょうか?
大学生活は何かと忙しいと言われていますが、のんびりとした毎日を送っている人も多いでしょう。
社会に出てやっていけるのか?
そんな悩みもあることでしょう。


のんびり屋の人は、社会に出てからやっていけるのでしょうか?




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のんびり屋こそ働きマンになってしまうという現実






この講演の見学に来ていた『大学生のための「学ぶ」技術 』(おかげ様で重版が決まりました!どどんと5000部!)の担当編集者がポツリと言っていました。


「こういう学生さんって、社会に出てからバリバリ働くんですよねえ...」


そう、そうなのです。こういう人ほど、就活のときや、入社した後に「働きマン」に変身するのですよねえ。
たしかに、私の周りを見渡してみても、大学時代に「こいつ、大丈夫か?」というくらいのんびりしていた人が、社会に出てからバリバリ働いていますねぇ。


もっとものんびりしていた友人のことをご紹介しましょう。


彼は、高校時代は野球部主将。野球三昧の日々を送り、2浪を経て入学。
彼について驚いたことといえば...。
本当に、講義に出席しないのです。
1限はもちろん、2限にも出ません。
ランチの頃にやっと大学に現れますが、その後も出席が必要な講義以外は出ません。
ひたすら缶コーヒーを飲み、タバコを吸い、他愛もない会話をし、時間をつぶすのです。
でも、単位だけはしっかり取っていて、感心したものでした。


「仕事と生活のバランスを大事にしたい」


そう考えた彼は、ある大手B2B企業に就職しました。
業界最大手の企業も考えていたのですが、社風が合う方に行きたいと考え、こちらに進んだのでした。
「この企業は、ゆるいのでは?」そんな下心も正直あったのでした。


しかし...。
入社してからの仕事は激務そのものでした。
学生時代はのんびりと過ごしていた彼ですが、もともと地頭がよく、要領もよかったため、仕事がどんどんふられることに...。
気づけば経営企画室で大活躍。
この春には抜擢され、海外赴任をすることに。
あるエリアの管理部門の責任者に就任しました。
学生時代の彼からは想像できないような、忙しい日々を送っています。


社会人になると、変身するものですねえ。




ゆるい社会人生活を送るにはどうすればいいか?






さて...。
中には、「のんびりとした社会人生活を送りたい」という人もいることでしょう。
どうすればそんな生活は実現するのでしょうか?


結論から言うと、確実にのんびりとしている企業、仕事というのはなかなか断定できません。
というのも、先ほど紹介した彼のように、ゆるい会社だと思って入ったところで、デキる人には仕事がいっぱい降ってきたりするからです。
ゆるい会社の中にもきつい部署はありますし...。


エリア限定総合職や一般職は楽だと思っている方がいるかと思いますが、転勤があるかどうかや、職務の範囲が違うだけであって、必ずゆるいというわけではないです。


その前提のもと、ゆるい社会人生活を送るにはどうすればいいか?


やや乱暴なやり方も含めて、ご紹介しましょう。




1.のんびりとした社風の企業を選ぶ


業界の中にもいくつかありますよね。




2.管理部門への配属を希望する


管理部門はコスト意識が強く、残業に対して厳しいところもあります。


その分、勤務時間中は忙しいとも言えますし、
人事や経理などの部門が営業部門よりも忙しい企業もあります。
入社した会社の管理部門がどのくらいの忙しさか見極める必要もありますね。




3.有給を使い切る文化の企業に行く


特にメーカーや、労働組合が強い企業がそうですね。


いや、ショックかもしれませんが、有給休暇ってなかなか使い切らないのですよ...。
でも企業によっては有給休暇の取得目標があることも。
ここは調べてみたいところですねえ。




4.早く帰るクセをつける


週に数日でもいいので、18時に帰れるように工夫をしてみましょう。
仕事のスピードアップと優先順位付けが大事ですね。


例えば、いかにも忙しそうな営業の仕事ですが、実際はちゃんと売れていて、仕事が進んでいればうるさく言われないのですよね(これも企業によりますが)。


仕事を早く終わらせる工夫をしましょう。




5.社内ゆるキャラになる


これは危険ですが...。
入社してしまってから、言われた仕事しかしないキャラを演じるという手があります。
でも、言われた仕事はやる、と。
仕事を頼みづらい存在、あまり仕事をしないキャラになってしまうわけですね。


生き残れるかどうかは危険ですが...。












思うに、仕事とは付き合い方が大事だと思うのですね。


忙しい日々も意外に楽しいのですし、慣れるわけですけど、身体を壊しては意味がありませんから。
今の基準だけで考えず、社内での振る舞い方を考えてみましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。