意識の低い学生はダメなのか?

2012.6. 6  9434Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




意識が高い学生は、その後どうなったのか?




ネットでたびたび、「意識の高い学生」という言葉が話題になります。
やたらと行動が前のめり、ソーシャルメディアで意識の高いツイートを連発、やたらとイベントを開く、海外に行くのが大好き、自分磨きが大好き、就活のためのネタづくりに一生懸命、団体を立ち上げるのが好きなどなどです。


私は「意識の高い学生批判論者」と捉えられているようで、もろもろ誤解されているようなので、この場を借りて言わせて頂くと...。


何かを一生懸命やっている学生は素敵だと思います。
私も学生時代は、プロレス研究会の会長と、学内でトップクラスに忙しいゼミで海外合宿や企業にインタビューに行く日々と、それなりに意識高い日々を送っていました。


ただ...。
自分のことを「意識が高い」と思っていて、人を見下している人は残念な人ですね。
また、就活につながることだけをやっている人も残念です。


ともに、企業の立場からすると(特に後者は)最も欲しくないタイプです。
頑張る方向性が間違っている人も痛いですね。
ただ、こういうタイプはまだ痛い体験、失敗を繰り返しつつ、学んでいくのですが。


まあ、でも自分ではかっこいいつもりでも「ああはなりたくない」と思われてしまうのはかわいそうなような、残念なような。


このような意識の高い学生は企業に入って活躍しているのでしょうか?
定量的に測定した資料はないものの、就活、いや学生生活を頑張りすぎたために、企業でのギャップに苦しんだり、息切れしてしまったり、逆に企業を見下してしまったり(ここはたしかに企業側の問題もありますが)。


「内定はゴールではない」は、キャリア教育関連の人も、企業の人事も、意識の高い学生も、誰でも言うわけですが、結果としては、内定がゴールとなってしまっているわけですね。
なかなか残念です。


まぁ、学生が意識が高くなっていくのも就職難の影響だったり、企業が見栄えのよい人材を求めていることだっりが要因として考えられるわけですし、ソーシャルメディアなど彼らが目立つためのツールも整ったわけですが...。
ひょっとすると意識の高い学生は就活の犠牲者とも言えるかもしれませんね。
いや、残念です。




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意識が低い学生も化ける件




いつも意識高い学生ネタを書いてきましたが、じゃあ、意識低い学生はダメなんでしょうか?
今日はこの件について考えてみましょう。


講義をサボる、やる気がない、何も打ち込むものがない、とにかくネガティブ、人をバカにする、毒を吐く、ぐうたら、とにかくルーズ...。
まあ、ここでも、人をバカにするのはやめた方がいいと思いますし、私は努力しないよりした方が楽しいと思っているのですけどね。


では、こういう意識の低い学生はダメなのでしょうか?


そんなこともないと思います。


たしかに、自分に対するウリもなく、仕事できそうな雰囲気もなく、就活では苦労しそうなタイプではあります。


ただ、こういうタイプは目覚めると活躍するのですよねぇ。
実はネガティブなのは、繊細で、物事を多面的にみているからであって、実際は客観的にものを見ることができる賢い人ということも。
頑張ったことがない分、何かのキッカケで頑張りだすことも。


意外にも意識の低い学生は、就活がやってきてから社会人に会って目覚めたり、会社に入ってから大化けしたりもします。
短期的な意識の高さ、低さだけではわからないものですね。
人生長いですし。






というわけで、意識の高い学生に言いたいのは、中途半端な勘違いな努力で、人を見下すのはやめてほしい、ということであります。はい。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。