<就活番外編>会社と仕事に期待しすぎない

2010.7.13  725Views

こんにちは、常見陽平です。


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本日は、大学生がキャリアについて考える際に、ぜひ読んで頂きたい本をご紹介します。

その名も『凡人のための仕事プレイ事始め』(中川淳一郎 文藝春秋)です。

私がこの本をオススメする理由は、この本には仕事に対するキレイゴトが一切書かれていないことです。

著者の中川さんが、大手広告代理店時代に体験した理不尽な経験が一通り書かれています。

無能なクライアントにこき使われる悲哀、誰も責任をとらない体質、挙句の果てにはサービス残業...。
ほとんど家に帰れない状態で働いた経験は涙を誘います。

自分が手伝ったクライアントは、十数億のボーナスをもらったのにも関わらず、自分が手にしたのは僅かな残業代...。

そして、彼は会社を辞めたのでした。

大学ではキャリア教育での取り組みが盛んです。
ただ、個人的に疑問に思っているのは、それらはどうしても「美しい話」が中心になっています。
現実の仕事は申し訳ないですが、辛いことや理不尽なことの連続なのです。

それでも仕事っていいなと思えるのは、一緒に働く仲間が好きなこと、お客様からの「ありがとう」の一言、そして個人の成長感です。

この本では、会社と仕事の茶番ぶりを切りつつも、最後は仕事っていいなと思える、そんな本です。


会社と仕事に期待しすぎないことも、楽しく働く上では実は大切なのではと思います。


世の中の現実を知るためにご一読を。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。