「学生時代に力を入れたこと」は「楽しい思い出話」ではありません

2013.2.28  26585Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




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ふわふわした楽しい思い出話は聞きたくない




エントリーシート(ES)にしろ、面接にしろ、選考でよくある質問といえば、「学生時代に力を入れたこと(通称:ガクチカ)」です。
就活初期段階でもっとも多い質問の一つが、


「人に誇れるような体験がない...」
「学生時代はサークルもアルバイトもやってこなかったが、こんな私でも大丈夫なのか?」


という話です。


中には、面接でアピールできる体験を言えるように、大学1年生からせっせとエピソード作りに励む人さえいます。
震災があった年などは、「就活のネタになるから被災地に行く」という学生さえ散見されましたが。
もともと、社会貢献活動に参加していた学生は当時、首をかしげていましたね。


大学の方でも、エントリーシートに書けるネタになるようなプログラムを提供していたりします。
複雑な心境になりますね。
まあ、不順な動機から何かが始まることもあるのですが。


さて、この「学生時代に力を入れたこと」なのですが...。
質問の意図をわかっていない学生が多いなぁと感じます。


バッサリ言いますが、特に女子大学に通う学生に多いですね、私のこれまでの体感値では。
別に聞きたいのは、楽しい思い出話ではありません。


この質問を通じて、価値観、行動特性、思考回路などを知りたいわけです。
物事にどう取り組むのか、考えて行動して振り返りができるか、継続して学ぶ姿勢があるか、打たれ強いかなどを知りたいわけです。
一緒に働くイメージがあるかどうかを知りたいわけです。


まあ、学生はアルバイトやインターンなど以外に働いたことはほぼないわけで、そもそもこの質問では分からないという批判はありますが、中途の面接でも、同じ営業や企画でもまったく同じ仕事はないわけで、何をやったかよりも、どう取り組むかを知りたいわけです。


でも、単に楽しい思い出話を書いてくるわけですよ。
イベントを企画して、みんな笑顔で楽しかった、なんていう話は単なる思い出話でしかありません。
しかも、それを具体性のない話で書かれても、うんざりするわけです。


もちろん、面接においては、面接官がその話を詳しく聴いて、肉付けしていくわけですが。


まず、「学生時代に力を入れたこと」は単なる楽しい思い出話ではないことを理解してください。




ちゃんと振り返り、意味付けし、具体的に説明する






では、単なる思い出話から一歩進化するにはどうすればいいか。
何度も書いてきたことではありますが、まずは振り返りが必要ですね。


先ほどの基準から考えて、どのように考えて、行動したか、どんな創意工夫をしたか振り返ってみましょう。


そして、具体的に書き出してみましょう。
この時は、大きめの付箋や、裏紙で書きだしてみるといいです。
できるだけ、数字や事実で書き出しましょう。
自分の表現がしっくりこなかったら、類語辞典などを活用してみましょう。


<参考記事>
たいていのエントリーシートは成立してない!?劇的に変わる裏技とは




これは、一人でやるよりも誰か他の人と一緒にやることをオススメします。
自分では何を考えたかは、分からない部分もあるわけで。
他の人に質問してもらうと、その時考えていたことがわかりやすいです。


この取り組みで、単なる思い出話から一歩進んだものになるはずです。
友人などの力も借りつつ、頑張りましょう。




執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。