サラリーマン人生を棒にふらないために、内定式で意識するべきこと

2015.9.30  2529Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。お久しぶりです。

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内定式がやってくる


就活時期繰り下げと売り手市場化により混乱した2016年度の就職戦線も終盤に迫ってきました。明日、10月1日は内定式がやってきます。

リクルートキャリア社が発表した「2015年9月1日時点 就職内定状況(2016年卒)」[確報版]」によると、就活をする学生のうち78.1%が9月1日時点で内定を持っています。就活時期が変わっていることもあり、昨年までと単純比較はできません。その前提で書くと、前年同月の83.4%に比べて5.3ポイント低いものの、採用広報開始時、採用選考開始時からの月数を合わせて比較すると昨年より回復していることは明らかです。

「明日は内定式がやってきます」と書きましたが、今年は前述したように、就活時期繰り下げ、売り手市場化の中で学生を確保できず、内定式を10月1日に開くことができない企業も存在するのもまた事実です。まあ、一昨年くらいまでは就職難で内定式までたどりつけない学生も多々いたわけですが。企業側としても学生側としても内定式を開けること、参加できることというのは、これはこれで、幸せなことなのです。


私と内定式


私の内定式の思い出をお伝えしましょう。それが、思い出がまったくないのです。というのも、内定式に行かなかったからです。指導教官がドラスティックなことを言う人で、「入社前に会社に拘束されることはない」なんてことを言うわけです。とはいえ、先輩も同期も上手くやりくりして参加していたわけですが、私はその言葉を間に受けて、実際、勉強が忙しかったので、それを理由に内定式を欠席したのでした。

基本、そのことを後悔していないつもりですし、そのあたりから私の会社に媚びない姿勢は始まっていたとも言えるのですが、とはいえ、参加していた方が、仲間も増えたし、会社のことをより深く理解できたのだろうなとは思います。

ちょうど10年前の10月1日、私は玩具メーカーに転職し、採用担当者になりました。転職して最初の仕事は内定式の運営でした。まあ、その時よりも、自分が直接採用を担当したその1年後の内定式の方が感慨深かったですね。採用活動の一つの節目という感じがしますし、彼ら彼女たちの本気を感じたりもしましたし。
内定式というのは、手間暇かけて作り上げているのだということもよくわかりました。あの時、内定式に行っておくべきだった、とも。
これが私の内定式の思い出です。

内定式でやっておくべきこと


さて、どのように内定式に参加すればいいでしょう?単に内定が出てよかった、同期と飲もうなんて気分で参加してはいけませんよ。これは、入社前の、内定が出た後のセミナーのようなものなのだと捉えましょう。

一番大事なのは、社長の話をとことん聞くことです。ここには、企業の方針、採用方針、内定者に期待することなどが凝縮されています。どの分野に注力するのかなどの話も聞くことができます。配属先の希望を出す参考にもなるでしょう。

もちろん、この手のスピーチは社長室、広報室、人事部などのスタッフがスピーチライターをしていることもよくあります。経営者はメディア・トレーニングという、外部のコンサルタントによる指導を受けていたりもします。だから、話が上手い、感動的なのは当然といえば当然ですし、本当に社長の言葉なのかという疑問もありますが。とはいえ、社長が発した言葉であることは間違いなく、会社の方針などがわかるものです。

懇親会では、配属先として興味のある部署の事業部長、先輩などの話を聞きましょう。ここで具体的な話を聞いておくと、配属面談などでの志望理由の説得力が増すことでしょう。顔を売っておくという効果もあります(印象が悪いと逆効果になることはありますが)。ここも裏の話をすると、新人というのは、各事業の責任者が取り合いをするわけです。できるだけ優秀な人を自分の部署にと思うわけです。内定式での縁が配属につながることだってあります。

会社を中から観察するのも手です。社員の様子、社内の雰囲気などもチェックです。もちろん、同期とも仲良くしましょう。一生の友達になるかもしれません。

内定式は会社員生活の始まり、というわけではないですが、大学でいうと「入学前のガイダンス」のようなものです。4月からのスタートを気持ちよいものにするためにも、情報収集の場でもあることを心得て臨みましょう。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。