「それは本当に圧迫面接でしたか?」ツッコミはあなたへの愛である

2013.5.10  1762Views


皆さん、こんにちは。常見陽平です。

 

私、圧迫面接したおぼえはないのですけど?


 
企業に勤めていた頃、まだ著者デビューなどする前のことです。
ネットで自分に関する書き込みをたまたま発見してしまい、びっくりしたことがありました。
 
「圧迫面接をされた」
 
そんな内容でした。まったく身に覚えがありません。
なんとなく、書き込み内容から、いつの誰に対する面接かを思い出しました。
 
「...あれ、圧迫面接のつもりはまったくなかったのだけど」
 
たしかに、発言内容に対して質問したり、つっこんだりはしましたが、圧迫したつもりはありませんでした。
でも、相手にはそう伝わってしまったのでしょう。
 
これは、実は企業の面接で毎年のように起こることではあります。
企業にとっては、より詳しくその人のことを理解しようと思って質問をしたのに、学生は圧迫だと解釈してしまったという。
ただ、たしかにあまり会ったことのない大人に何度も質問されると圧迫面接だと感じることもあるでしょうね。
 
まあ、相手のことをもっと知りたいという意味でのツッコミなのですが。
 
こういう話をすると、また企業社会は野蛮だという話になりそうですが、いや、大学だってそうじゃないですか。
大学でも少し厳しい講義、ゼミはツッコミの嵐です。
大学院の講義やゼミならなおさらです。
学問そのものが「なぜなのか?」そんな問いと向き合うことの連続です。
ツッコミと向き合って当然です。
 
だから、早く、面接というのは突っ込まれるものなのだ、それは私のことを知りたいからなのだということに気づいてください。
 
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ツッコミにきれいに答えられなくても構わない


 
さて...。
ツッコミをいれられた際に、いかにも頭の回転がはやくて、きれいに答えられる人というのはたしかにいます。
逆に、突っ込まれてしどろもどろになってしまったり、すぐに答がでない人もいます。
 
ここで言いたいのは、別にきれいに答がでなくても評価されることはある、ということです。
 
元々用意していたような答を反射神経で答えられるよりは、じっくりと問いに向き合い、自分はこう思ったという意見を伝えられた方が魅力的です。
こういう考えぬく体力や思考のストレス耐性があるかどうかも見られるわけです。
だから、「落ちた」と思った、全然完璧な答が言えなかった面接が、通過していたりするわけです。
 
「突っ込まれた!どうしよう!」
 
なんて思わずに、問いと向き合い、考え抜き、伝える勇気を持ちましょう。
 

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。