「小さくてもいちばんの会社」 改めて、いい会社って何だ?

2012.7.26  2786Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




小さい「いちばん企業」「面白企業」は結構ある




編集者から献本御礼。
小さくてもいちばんの会社 日本人のモノサシを変える64社 』(坂本光司&坂本光司研究室 講談社)を頂きました。
坂本先生はベストセラーとなった『日本でいちばん大切にしたい会社 』」(あさ出版)などで有名ですね。


タイトルどおり、小さくても何かの指標で1番になっている企業が実に64社も紹介されています。
同じフォーマットで紹介しているので、分かりやすいです。


紹介されている企業は・・・
「年間休日がいちばん多い会社」
「年次有給休暇取得率がいちばん高い会社」
「行列が途絶えない会社」
「一人あたりの教訓練時間がいちばん長い会社」
「社員の提案件数がいちばん多い会社」
「いちばん障がい者が働いている会社」
「サービスがいちばん素敵な会社」


などなど。


さて、どこでしょう?
そして、気づきましたか?


この本、別に「シェアが1位」というような企業を紹介しているわけではないのです。
特にソフト的な部分でいちばんの要素、独自の要素がある企業を紹介しているのですよね。
人をキーワードにした章もいくつかあり、参考になります。
読んでいてワクワクする本ですね。


そうそう、もう1冊ご紹介しましょう。博報堂ケトルが出している「ケトルVOL.04(2011年12月発売) です。
特集は「従業員30人以下のスゴイ会社」です。


「手書きのポップを作る出版社」として知られるミシマ社、「世界一の地ビール・箕面ビール」をつくるエイ・ジェイ・アイ ビアなどが紹介されています。
こちらもワクワクする内容です。


小さくても、輝く会社、面白い会社は、あります。




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改めて「いい会社」ってなんだ?という問い




一方で、皆さんの気持ちを代弁すると...。


「優良中堅・中小企業はいくらでもある。若者よ、そういう会社を目指しなさい!」
「ソニーもホンダも最初はベンチャーだったんだ。ベンチャーに目を向けなさい」


と言われても、どこか戸惑うことってありません?


「若者がそういう会社に目を向けないのは、出会う場がないからだ。出会う場をつくるべきだ」
「そりゃあ、中堅・中小企業に行くのは不安になるものだ。だから、ある基準を設けて推薦すればいいのでは?」


という声もあるわけですが、いざこういう風に本にまとめられました。
さあ、皆さんはこれらの企業に行きたいですか?


そう、物事はそういう単純な話ではないのですよね・・・。


出向先も含め、小さい会社に2回勤めたことがありますが、おかげ様で楽しく勤めることができたものの、小さい分、人間関係で何かあったときに逃げ場がなかったり...。
そして、先のことはなかなか見えませんし、まずは企業として存続することに日々、精一杯です。


「いい会社って、なんだ?」


この問いに対する答を語り出したらきりがありませんし、人によりますが、最近大事だなと思うのは、




1.「組織風土が合う企業」つまり、空気や肌が合う企業
2.ビジョン、ミッション、バリューが明確であること
3.何屋さんなのかが明確で、本業で儲かっていること
4.企業や個人を束縛する要素が極めて少ないこと
5.自分の居場所が確保し続けることができそうか




これかなと思っています。


「いい会社ってなんだ?」


結局は自分の基準なのですね。




あなたの「いい会社」の基準は何ですか?


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。