学生だけでなく企業も「盛り」まくり!採用のウソはこう見抜け

2011.9.30  6478Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




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採用活動はウソだらけ!よくある7つのウソ




「就活は学生も企業も騙し合いだ」


という声をよく聞きます。
いや、全部がそうだとは言いませんが、かなり当たっていると言えるでしょう。
学生も盛っているわけですが、企業も盛っているわけです。


ある大学職員は「会社説明会は粉飾決算発表会」と言い切っていました。
まぁ、厳密にはウソではないのですけど、かなり「盛って」いるわけです。


よくあるウソは、具体的にはこういうものです。


1.できたばかりの制度、ほとんど活用されていない制度


こういう制度を採用活動では打ち出すわけですが、
できたばかりの制度がすぐに定着し、活用されるとは限りません。


毎年、採用活動でアピールされるわりには、全然活用されていなくて、
会社説明会に協力した社員が「またそれを推しているのかよ...」と呆れる制度も。


2.先行き不透明な新規事業


「シニア向け新規事業に参入」「○○とコラボした商品を発売」などのニュースを採用活動でも打ち出すわけですが、
新規事業、新商品がそうそう上手くいくとは限りませんよ。
そして、それに関わる可能性を臭わせたりするわけです。


3.言うだけのグローバル化


そもそもこういう企業に限って、グローバル化とはどんなものか、社員も受ける学生もわかっていません...。


4.出てくる社員の魅力が異常


普通に考えるとわかりますけど、こんな人だらけではないです...。
採用活動がトップスター総動員の演劇になっている企業も。


5.ありえないお給料


新卒の求人情報ではあまり訴求されるポイントではないですが、
「20代で月収40万円も可能」など、給料がよいことを押し出している場合、
「よっぽど会社の業績、個人の成績が良ければありえる」という話であって、
社員の皆がそんなにもらえるわけがないことも...。


6.「社会ではこれが常識です」という言い方


世の中の相場を伝えるのも採用担当者の仕事ですが、本当に正しいのかは裏をとるべきです。
そして、採用担当者には残念な人もいて、意外に世間のことも、社内のことも知らないんですよね...。


7.配属などに関すること


「○年目でもこんな仕事ができますよ」「若くして営業から商品企画に移った人もいますよ」などと言って、
あたかも希望の仕事ができるようなことを臭わせますが...、人事に絶対はないです。




企業のウソを見破る方法




これは採用活動に限りませんが、
ウソを見破るコツはデータ、ファクト、ロジックを見なおしてみるということです。


「具体的なデータはどうなのか?」
「例えば、どんな例があるのか?」
「ちゃんと筋が通っているのか?」


ということをチェックしたいところです。


特に「数字をチェックする」ということを意識したいですね。
学生はもちろん、オトナの世界でも「文章としては正しいが、数字を見るとウソだとわかる」ということがよくあるわけであるわけです。
例えばこういうことです。


「グローバル展開を強烈に推進します」
と言うと、誰でも「いいことだ」と頷くに違いないですけど


・どこに展開するのか
・誰が担当するのか
・いつまでに展開するのか
・強烈にというのは、どういうことか
・どれくらいのシェアを目指すのか
・どうやって展開するのか


がまったくわかりません。


IRレポート、CSRレポート、各種記事などで、数字を確認してみましょう。


先日、ライフネット生命の出口治明社長の講演を聞く機会があったのですが、
「国語ではなく、算数で社会を見る」という言葉が印象的でした。


前述した「グローバル展開を強烈に推進します」がまさにそうなのですが、言っていることは正しそうで、
数字でみないとまったく分からない、説得力がないというわけです。


企業を少しだけ擁護するならば、「盛って」でも「いい人」を採りたい、
採用活動でそう宣言することで進化したいという想いがあるのですけどね。




「それは本当なのか?」を検証する癖をつけましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。