面接に現れる痛い宴会芸学生、コスプレ学生は内定したのか?

2011.11. 8  5444Views

こんにちは。常見陽平です。




安全策か、奇策か?






少し前に、海老原嗣生さんから『仕事をしたつもり (星海社新書) 』頂きました。
献本御礼です。うん、面白い本ですよ。
仕事のツボってこういうことということがわかりやすくまとまった本です。
簡単に読めます。学生のうちから読んでおきたい本ですね。


この本の中で、就活の1シーンが登場していました。


面接官をしていると、「えー、私が取り組んだポイントは3つあります・・・」というような、上手なプレゼンで学生生活を紹介する学生は、いわば「安全策」をとっている学生なわけですね。
面接をしていると、こういう学生だらけです、たしかに。


一方、中には「奇策」に走る学生がいます。
「オレ、おばあちゃん子なんすよね」と言い出した学生はたしかに目立ったとか。
たしかに、印象にも残ります。


でも、採用するかどうかというと話は別ですよね。
空気を読んでいないのではないか(まぁ、空気を読みすぎるのは日本人の悪いところでもありますが)という話になるわけです。


この本では、「安全策」と「奇策」について、


◆「安全策」は、たしかに論理的には正しいが、それゆえ同じ行動を取る人間(競合)がたくさん出現する。
そうなると、印象は薄れるし、当然、自分が選ばれる可能性は低くなる。


◆「奇策」は、同じ行動を取る人間が少ないので印象には残るが、えてして相手のニーズや要望、本来の目的を無視した独りよがりに陥ってしまう。


とまとめています。
うん、そうですよね。どっちもどっちというわけです。


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あの侍コスプレ男はどこに行ったのか?






まぁ、就活をめぐる誤解なのですけど、「目立ったもの勝ち」「すごい体験をした人が勝つ」という勘違いがいつもあるわけですね。
そして、毎年、痛い学生を発見するわけです。実際ある例、ない例も含めて都市伝説化していくわけです。


私が就活をしていたときにも、電通を受けた時には同じ面接会の時に、侍の格好をしていた学生がいました。
「駒沢大学 侍 山田太郎」みたいな感じで、ご丁寧に背中に名前入り。恥ずかしいったらありゃしないですよ、えぇ。
あの侍男、どこで何しているんでしょう。
このエントリーを見て、連絡してきたらびっくりしますね。


他にも私が見聞きした例では、手品やダンスなどの特技の実演、応援団のエールを始める人、歌いだす人、ユニフォームでくる人、アルバイトでやっていたうぐいす穣の真似をする人など、もういろいろなわけですが...。


私が問いかけたいのは...。


「あなた、仕事できそうですかね?」
「一緒に働きたいと思いますか?」


ということですよ。


そういう私は意外に就活の時に変わったことはせず、せいぜいいつもグループディスカッションで一緒の人とバトルになったり、面接官とケンカになるくらいだったのと、いつもリクルートスーツ以外で行っていたことくらいですが(って、本当にリクルートスーツが1着しかなかったのと、スーツならかっこいいスーツを着たいというただそれだけなのですが)、P&Gのインターンを受けたときにウケを狙って、「私にとってのP&Gはプロレスとギャンブルです」と言ったことがあります。


ウケませんでした。もちろん、インターン選考も通過しなければ、内定もなし。
まぁ、人は痛い経験を通じてオトナになるのですが。


特に普段、こういう変わったことに慣れていない人ほど、恥ずかしさが目立ちます。
痛い就活、ダメ、ゼッタイです。




執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。