ナビ就活だけが、就活ではない!求人は、ある

2011.10.20  2211Views

こんにちは。常見陽平です。




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求人は、ある




大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (ソフトバンク新書) 』の著者、
沢田健太さんと対談したときにこんな話題が出ました。


「常見さん、求人って増えていますよねぇ」


そう、都内のキャリアセンター職員に聞いてみると特に夏以降、求人がどんどん来ているとのこと。
マスコミはやたらと、「就活は大変だ」という絵を描きたがるわけですが、求人自体はあるのですよね。


「でも、それは学生が行きたがらない中堅・中小企業の求人じゃないのか?」


と言う方もいるでしょう。


そう、たしかに中堅・中小企業の求人も多いですよ。
でも、大手の追加募集などもよくきているとか。
内定辞退の欠員募集や、震災後も新興国での売上が盛り上がり業績好調な企業も。


学生は2012年度版の就職ナビサイトに掲載される説明会情報が少なくなり、
「もう求人がないのか...」と思うかもしれませんが、求人は、あるのです。


日本の就活は就職ナビサイト中心に行われ、広報も選考も一定の時期に集中しているという批判があるわけですが...。


実際は、大学4年の夏以降に、キャリアセンターにくる求人や、
官庁や自治体が主催するマッチングイベントでゆっくり決まっていく割合もかなりの数を占めるわけです。
大学4年の3月のギリギリになって決まる人もいるわけです。
2011年卒においては、震災の影響で3月に最後の逆転内定がなかったという声はありましたが。


企業との出会い方は、ナビだけではありません。




企業も脱ナビ就活を模索中




企業も脱ナビを模索しています。
ここ数年、企業の人事と会うたびに「どうやったら就職ナビを使わずに採用できるのか?」という声を聞きます。


たくさん集めてたくさん落とす採用になってしまうこと、
さらには、「欲しい人材がナビ経由では採れない」という質的不安・不満からです。


企業がリクルーター制度復活(といっても、実は水面下ではずっとあったのですが)、
ソーシャルメディア採用に力を入れるのはそういうわけです。


最近では、ビジネスコンテストに協賛する企業も増えました。
これも実は、優秀だと言われる学生向けのブランディング、さらには一本釣りのためです。
他にも水面下で、あらゆる手段を使って、優秀学生の一本釣りを模索している企業はあります。


もっとも、ナビを完全に切ることには戸惑う企業も。
ある程度の母集団は確保しておきたい、まったく応募がなかったらどうするか、
一本釣り採用で候補に上がってくる学生は尖っていて評価が割れ採用に至らない可能性があるなどの理由からです。




右向け左の発想でいくのも、あり




ここで言いたいのは、別に就職ナビを中心とした就活だけが、就活ではないということです。


「新卒一括採用」とくくられ、その弊害が批判されるわけですけど、実際は多様化が進んでいるのですよね。
そして・・・。これはおちまさとさんも、ライフネット生命の出口社長もおっしゃっていたことですが、
皆が右に進んだときは、左に進んだ方が得られるものが大きいということもあるわけですね。
皆と同じ方向だと、大失敗はしないかもしれませんが、その中での力の大きい人が勝つわけで。


そういえば、自分が就活をしていた時に、私以上に変わっていた友人がいました。
彼は、いつもチャッカマンを持ち歩いてそれでタバコに火をつける、
商学部なのになぜか美術系の大学に留学するなど、ルックスも言動も極めて変わっていたのですが...。


そんな彼は「陽平は、資料請求はがきだ、面接だとか、だるいこと言ってないで、さっさと社長にアポをとってしまえ」と言いました。
大胆なこと言うなぁと思ったわけです。
まぁ、たしかに就活中は積極的に社長を含め、社会人には会っていたのですが。
でも、極論なようで、これもありです。




別に就職ナビを使ったものだけが就活ではありません。
就活の多様性に気づきましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。