内定出しは劇的プロポーズと一緒であるべき理由

2011.6.16  1921Views

こんにちは、常見陽平です。




いきなり甘酸っぱい話ですが、皆さんはどんなシュチュエーションで
「好きです。付き合ってください」と言いましたか?あるいは言われたことがありますか?


いまやアラフォー男子になってしまった私の中高生時代は、それこそ放課後の体育館の裏とか、
誰もいなくなった教室などが、よくあるパターンでした。
他、球技大会、学園祭、修学旅行の前後もそうでしたね。


これらのイベントが終わると、クラス内のカップルは増殖していませんでしたか?
このようなイベントは、ある意味、非日常であり、
普段、机を並べて勉強している異性のかっこよさが目立つ瞬間だったりします。
若い、というか幼い頃は、いちいちドキドキして、ドラマチックに感じたわけです。


オトナになると、すっかりスレてしまって、そもそも告白なんかせずに恋愛が始まったり、
いつの間にかカップルになったりするわけですし、
恋愛や結婚に至るスピードが早くてびっくりしたりするわけですが。


さらには、大学を出て友人の結婚式などに出ると、
同じテーブルの男女と新郎新婦が過去にいろいろあったことを思い出して、
『となりのトトロ』ならぬ、隣でドロドロという人間関係が気になったりするわけです。
まぁ、時間はいろんなことを解決してくれるわけですが。


...話が飛躍してすみません。




就活の話をしましょう。


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企業にとっては「採用難」...?








学生にとっては「就職難」なのですが、企業にとっては「採用難」なのです。


先日、採用担当者向けのセミナーを実施したのですが、多くの企業が、採りたい学生が応募してこない、
内定を出しても辞退されてしまうということに悩んでいました。


ただ、内定辞退が課題となっている企業さんの話をよくよく聞いてみると、
申し訳ないですけど「内定の重み」がないんですね。


私が毎週録画しているCX系の『僕らの音楽』ではよく、
「今夜、レミオロメンが特別に歌います」なんてことを言い出すわけですが、
毎週毎週特別に歌っていて、まるでありがたみがないのです。
それと同じくらい軽いわけです。


メールで内定通知をする企業、電話で事務的に伝える企業が実際にあるわけですが、
ありがたみなどゼロですよね。






「内定の重み」










学生の内定承諾率が高い企業は、「内定の重み」が違います。


まず、選考プロセスが違いますね。
学生とちゃんと向き合っている、ちゃんと見てくれていることがひしひしと伝わってきます。


そして、内定を出す際も直接会って、これまでの物語や、評価したポイント、
一緒に働きたい意志などを劇的に伝え、握手するのです。


学生が「この企業で働きたい、いや、働かせてくれ」と気持ちが高まっている状態に持っていくことは
もちろんポイントなわけです。


最終ジャッジ、内定出し、意思確認というプロセスも、人や状況によって柔軟に変更します。




2011年に多い内定承諾の強要








採用数をしぼる局面では、歩留まりが課題になります。


今年は採用時期が分散化したため、後から他社にひっくり返されることを恐れ、
内定承諾を強要する企業が増えています。


キャリアセンターにくる学生の相談も、内定承諾を強要する企業のいなし方が第一位だったりします。


うーん、気持ちは分かりますが、大人げない対応をする企業もどうなんでしょうね。






一方、劇的な内定通知にもこんな裏があることを学生さんは理解しておいてください。


まぁ、でも、人事は学生が大好きな、愛のある人が多いと感じるのですけど。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。