内定を「もらう」のと「蹴る」のは、そろそろ終わりにしよう

2011.6. 2  5560Views

こんにちは、常見陽平です。


就活ライブチャンネルさんとフィナンシャル・ジャパンさんの
コラボ企画「起業家マインドを持った生き方とは」に出演しました。


ゲストはタリーズコーヒージャパンの創業者であり、現在は参議院議員の松田公太氏
ネオキャリアの代表取締役の西澤亮一氏でした。


司会を担当したのですが、ついつい喋りすぎてしまいました。


手前味噌ですが、大変充実したディスカッションになり、盛り上がりをみせました。
アーカイブがアップされていますので、ぜひご覧頂けると嬉しいです。


a0001_007847.jpg




「内定はもらう」ものではない








その中で、議論の本題とはやや外れるのですが、「内定をもらう」という表現について、
意見を言わせて頂きました。


私は学生時代から一貫して「内定をもらう」という表現が嫌いでした。


採用担当者時代も、そして今も、この表現は執筆においても、
講演においても絶対に使わないようにしています。


内定は、「もらう」ものではないと考えています。


内定は互いに決めるものです。


採用担当者としても、内定を「あげる」ものではないはずです。
もちろん、気持ちは分かります。
80社受けて1社も内定が出ない人がいる時代です。
やっとたどり着いた内定は「もらう」という位置づけなのかもしれません。
企業のことをリスペクトしているが故の表現とも言えるでしょう。


単なる言い回しの問題かもしれません。


ただ、この表現が浸透している限り、企業の立場が上で、
学生が下という構造は変わらないと考えています。


最近の企業の採用姿勢から言うならば、
最も欲しい層はある意味生意気に自分の意見を発信できる人です。


企業に依存するタイプ、安定を期待するタイプなど、このご時世の中、必要なのでしょうか?






内定を蹴るのもおかしい








一方、内定を「蹴る」という表現も、
これはこれで企業を否定しすぎではないかと考えています。


互いに決めるはずのものを「蹴る」とはどういうことなのでしょうか。
昨日は松田さんの就活時代の話が出ていました。
就活を始めてすぐに大手広告代理店が内定を出そうとし、「ちょっと待ってください」と断ったのだそうです。
また、金融機関に拘束された際の理不尽な話も聞かせて頂きました。


企業に対して毅然と、かつ真摯に向きあう松田さんは素敵だと思いました。




というわけで、そろそろ内定を「もらう」とか「蹴る」とか言うのはやめませんか?
就活の茶番ぶりを少しでも改善させる、小さくても大きな一歩だと信じています。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。