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内定式もまた、「配活」の舞台である!見られていることを意識しよう

  • 2013年9月30日 2100Views

常見陽平の「就活最前線」

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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内定式は配属面談を兼ねている?


気づけば9月も終わりです。たくさんのニュースがあった1ヶ月でしたね。
私も仕事がいっぱいでしたが、なんとか乗り越えることができました。
修士論文の中間報告もありましたよ。学生の皆さんは新学期ですね。

さて、明日10月1日は各社で内定式が行われます。
この日をもって正式に内定者ということになります。
経営者なども登場して挨拶があったり、合わせて研修や懇親会があったりします。

そして、この内定式、実は「配活」の舞台でもあるのですね。

「配活」とは何か?今年から流行り始めている言葉です。
内々定が出た後、「希望通りの配属のために頑張る活動」のことです。

日本の雇用契約においては、配属先の部署、職種、勤務地は決まっていないことの方が多いです。
希望通りの配属を勝ち取るために、残りの学生生活でまた自慢できる体験を増やしたり、TOEICのスコアを上げたり、人脈づくりのために再度OB訪問をしたり、インターンやアルバイトで顔を売ったりするわけです。
まあ、今に始まった話ではありませんが、学生の中でじわじわ広がりつつあります。

内定式や、内定者懇親会、内定者研修はまた、配活の絶好の舞台です。内定者自身も自分を売り込むことに必死になったりしますし、内定者懇親会に参加する役員や部長クラスも、楽しい場でありつつも、自分の部署にピッタリの人材を探す場だと密かに考えていることも。
実際、懇親会などで明るく自己紹介を聞きつつも、内定者名簿をチラチラみたりするわけです。

お祝いの場だと思いつつも、配属をめぐる駆け引きは互いに行われているものです。


内定者は見られていることを意識する


配属というのは、個人の努力だけでは決まりません。
そもそもの、全社の方針や事業部の方針も影響します。
また、人事が決めるわけではなく、配属先の部署からの影響も受けます。
内定式で、行きたい事業部の部長と意気投合して「ウチにこいよ。人事には話を通しておくから」なんて言われることもありますが、配属の頃に彼が異動になるということも。

とはいえ、希望通りの配属にならなかったとはいえ、それで人生が終わるわけでもなく、意外な広がりを見せることもあるのですが。
ここで気をつけておきたいのは、希望を通そうと思い、力む気持ちもわかりますが、その前に、信頼をなくすようなことをしないということです。
内定者になった後でも、学生は人事から見られています。
萎縮する必要はないですが、内定者時代の粗相で評価を下げてしまうということはよくありますのでご注意を。

そして...。ないかと思いますが、炎上騒ぎなどを起こさないようにしましょうね。
内定者になった瞬間、◯◯社内定者の◯◯大学の学生が不祥事という問題になるわけで。
あなたが有名ではなくても、企業と大学に傷をつけることになりますからね。

いろいろと怖いことを書きましたが、学生生活も残すところあと半年。
配属にドキドキ・ワクワクしつつ、楽しみ尽くしましょう。


「夢を追う人は美しい」を疑え!夢がなくとも目標・課題があれば働く人生は楽しめる

  • 2013年9月24日 597Views

常見陽平の「就活最前線」

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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「夢を諦める期日」もちゃんと設けておく


突然ですが、皆さんは『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生 』(渋谷直角 扶桑社)という漫画をご存知ですか?



今、ベストセラーになりつつある本です。
著者が自主制作で発表した表題作が、少部数配布ながらツイッターなどで話題を集め、書籍化されたのだそうです。

表題作の他、「ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園」「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」など、タイトルを聞いただけで「あぁ、痛い」と感じる作品だらけです。
いい年齢なのに、夢を捨てきれず、サブカルにまみれて自意識ばかりが肥大した、残念な20代、30代男女の肖像がシニカルに描かれています。

「キャリアを考えるのに参考になる楽しい本です。オススメですよ」なんてキレイゴト、無難な説明を言うつもりはまったくありません。
読んでいて爽快感などはほぼ一ミリもなく、どちらかというと不愉快な気分になります。
特に表題作などはややお下品な描写もありこのコラムで紹介するべきかどうか、率直に悩んだりもしました。
まあ、絵がかわいいですし、展開があまりにもベタなので、「あはは、痛いなぁ・・・」くらいで笑い飛ばすことができるのですが。

とはいえ、キャリアを考える上で良い「反面教師」になる本だなと思っています。
来年で39歳になるアラフォー(と言うと、今風ですが、残酷な言い方をすると中年)から言わせると、この漫画で描かれているような、夢を捨てきれずに自意識が肥大して、人生をこじらせている人って、実際、いるわけですよ。「あぁ、痛い・・・」と思いつつ、読んだ次第です。

ここ数年、「働き方ブーム」なわけであり、その中でもノマドなどの組織・時間・場所にとらわれない働き方や、世界に飛び込んで働く人などが注目されるわけですが・・・。
夢を追うこと、努力することはまったく否定しないわけですけど、明らかに自分の実力や置かれている環境を意識せず、単に自意識だけ過剰になってもしょうがないわけです。

夢を叶えたいと思うなら、覚悟も必要ですし、渡邉美樹氏の言うところの「夢には期日を入れる」ことも大事だけれども、一方で中川淳一郎氏の言うところの「夢を諦める期日」も大事なわけです。


夢がなくても、目標、課題があればいいじゃないか


さて、今年のドラマの話題作と言えば、TBSの『半沢直樹』とNHKの『あまちゃん』ですね。
今年の流行語大賞は、「倍返し」と「じぇじぇじぇ」さらには滝川クリステルが五輪招致スピーチで言った「お・も・て・な・し」 林修先生の「いつやるの?今でしょ!」の4つで熾烈な争いになりそうですね・・・。

この中でも、『半沢直樹』人気についてふれておきたいと思います。
なお、この原稿を書いている段階では最終回は放映前でまだ見ていません。ご了承ください。
そういえば、この番組ネタでTBSラジオの『Session−22』にも出演しましたよ。パーソナリティーの荻上チキさん、南部広美さん、ゲストの速水健朗さん、真実一郎さんと語り合いましたよ(ここで聴けます)。
このドラマは、放送しているTBSでもノーマークだったと言われるほど、想定外の大人気となり、高視聴率を誇っています。
出演者も男性だらけで、ビジネス色が強く、よくある売れるドラマとはつくりが違います。とはいえ、高い支持を得ています。

個人的に、このドラマが売れた理由として、若者も含めて世の中がサラリーマンを再評価しているからではないかと見ています。
やれノマドだ、起業だ、セカ就だという話が、意識高めにネットでは語られるのですが、世の中の現実としてデータを見る限り、終身雇用や年功序列を支持する割合はすべての年齢層において過去最高レベルで高くなっています。
このあたりは、10月刊の『普通に働け』(イースト新書)に詳しくまとめていますのでご期待ください(アラサーくらいをターゲットにしていますが、就活を始める前に、あるいは社会人になる前に読む本としてもオススメです)。

「自分の意見が通らない会社、好きなことができない会社なんてやめちゃえ」という話になるわけですし、そもそも入社した後は何をさせられるのかが日本の雇用契約なわけですが。
とはいえ、やらされた仕事、理不尽なことを楽しみ尽くすのも、矛盾するようですが、企業社会の魅力ではあります。
別に夢がなくても、目指す目標、クリアしたい課題があれば働く人生は楽しいのではないかと思う今日このごろです。

いや、私は、夢はありますよ。
そのための覚悟も、努力もしていますよ。
ただ、才能もなく、努力もしない人が自意識過剰で夢に振り回されて人生こじらせるのは、痛いとしか言いようがないわけで。

大きな夢を描いているアナタこそ、ぜひこの本を読んで人生を考えてください。
やらされることを自分流のやり方で楽しみ尽くす人生も楽しいものですよ。