まず、「この企業はいい会社ですか?」と聞くのをやめよう

2011.7.19  1351Views

こんにちは、常見陽平です。


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就活は、安易な質問から始まる?




先日、あるB級グルメのお店にランチで行ったら、知っている学生にばったり会いました。
現在3年生の彼は、開口一番こう言いました。
「以前、お勤めだったリクルートは、いまでも"いい会社"だと思いますか?」
私は、「そうか、今年もこういう質問を受ける時期がきたか・・・」と思いました。


そう、就活が始まる前の学生にありがちな、「安易なざっくり質問」ですね。


もちろん、彼のことを責める気にはなりません。
就活の初期はたいていこんなものです。


普通に勉強していて、ニュースに接していて、世間では優秀だと言われる学生でも、
社会、企業に対してこれくらいの解釈だということが日本の現実です。




「いい会社」を人に聞くのはやめなさい



就活を始めたばかりの学生にぜひ、言いたいことがあります。


まず、一刻も早くこの「いい会社」という曖昧な表現を卒業してください。


「いい会社」ほどいい加減な言葉はないからです。
もちろん、社会人も含め、日本人の多くは「いい会社」という言葉を使います。


しかし、この言葉は共通言語のようで、微妙に認識が違う言葉だと思っています。


業績がいいことを言っているのか、事業の成長性が高いことを言っているのか、
安定していることを言っているのか、働きがいがあることを言っているのか、
給料がいいことを言っているのか、社会貢献度が高いことを言っているのか・・・。


その渾然一体としたイメージから「いい会社」という言葉は成り立っていると思います。


そして、この言葉が一人歩きし、学生は進路選択を間違います。
「いい会社」は人それぞれによって違いますし、人生のステージによっても変化するのですよね。
その企業もおかれているステージによって変化するわけです。
また、業績が悪い企業、仕事がきつい企業でも、そこでの経験がその後の人生で生きることも。


思えば、私が最初の就職先リクルートに入社した頃は、
借金が1兆円ありリクルート事件から10年経っておらず、
世間からの評判は決してよくなかったわけですし、仕事も大変きつかったわけで、
ゼミの先輩や仲間も暗に「本当に行くの?」という態度をとっていたわけなのですが、
20代のうちにそんな経験をしていたことが、今では大変に役立っています。


就活生が早めに卒業したい曖昧ワードはこれだ!


いい会社」同様、就活生が毎年口にし、判断を誤らせ、
オトナをイラっとさせる言葉をいくつかご紹介しましょう。


◆「働きやすい環境」


主にWLB(ワークライフバランス)の制度などのことを言っているのかと思いますが・・・。
「働きやすさ」は人によって、人生のステージによっても違います。


◆「給料がよい」


何と比べて、しかもどの時点でがまったく不明確です。


◆「やりがいのある仕事」


これは主観による部分もあると思うのですよね・・・。
そして、やらされた仕事にやりがいを見いだせるかどうか、
これが厳しいようで、サラリーマンの大事な処世術だったりもします。


◆人の役に立つ仕事


よっぽどの悪の組織では無い限り、全ての仕事は人の役に立つ仕事です。


◆社会貢献する仕事


働いて、稼いで、税金をおさめることが、まずは社会貢献だということ、
何より本業こそが社会貢献だということにまず気付きましょう
(税金に関しては、その再配分について、監視する必要がありますが)。






まずは、激甘な曖昧表現を卒業しましょう。
別に就活するしないに関わらず、オトナの世界に旅立つ学生なら誰でも意識するべきことだと思います。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。