就活時期繰り下げで夏休みは楽しくなったのか?

2014.8.19  182Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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インターンシップ一色の夏休み?


突然ですが、皆さん、夏休みですか?楽しんでいますか?
少し前ですが、大学教職員、人事担当者の間で話題になった記事があります。

長い就活変わらず...インターンシップ、夏も冬も(日本経済新聞)

インターンの実施企業が増加傾向であること、就活時期の繰り下げにより選考が短期決戦になる一方で、事前準備は長期化していることなどが触れられています。
毎年、関西のある大学で夏休みの最後に実施する泊まり込みのリーダーシップ・プログラムを担当しているのですが、今年は参加者が大幅に減りました。
このプログラムを受講するような、意欲のある学生は、インターンシップをハシゴするわけです。
企業も学生もインターンシップに力を入れていることの証拠と言えるでしょう。

就活時期の繰り下げといいつつ、インターンシップが早期接触の場となり、実は以前よりも早期化、長期化したのではないかとすら感じます。


歴史は繰り返す?


ふと思い出しました。00年代半ばの頃のことを。
当時、求人がかなり回復し、売り手市場と言われていたのですが、その時も夏休みはインターンシップが盛り上がりを見せていました。
6月くらいから、インターンシップの合同説明会というものが始まり、すっかり就活っぽい雰囲気になり。
夏休みは、2ヶ月にわたり、いくつものインターンシップを掛け持ちする学生をよく見かけました。
「他のインターンシップも決まったので、受け入れ時期を変更できませんか」なんていう相談の電話もよくかかってきましたっけ。

あの頃の光景を見ているようです。
もっとも、インターンシップを実施する学生も受け入れる企業もあの頃より増えており、方法も多様化しているわけで。
インターンシップなるものにより、ますます就活が前倒しになっているとも言えるこの状況を皆さんはどう思いますでしょうか。


どうなる、新卒一括採用?


別のエントリーで詳しく書きますが、この就活時期の繰り下げというのは、国家をあげた茶番だと言えるでしょう。
ただ、この繰り下げの取り組みに関しては「企業をまだ、画一的な時期で縛るのか」という批判がありましたが、結果から見ると、これは自由化宣言だったのではないかとさえ思えてきます。
採用しきれない中堅・中小企業と、決まらない学生は既卒市場にシフトする可能性もあるわけで。
そして、優秀学生の早期囲い込みは進みます。
なぜ、採用活動はフライングを繰り返すのか。
これもまた、向き合わないと行けない問いだと言えるでしょう。

2016年採用がどのような結果になるのか。
どんな想定外の変化をもたらすのか。

時期変更の功罪を私たちは冷静にジャッジしなければならないと言えるでしょう。
状況を今後もウォッチしたいと思います。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。