大企業志向はけしからんと言うけれど...とはいえ業界NO.1企業は魅力的です

2014.1.31  1960Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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今年の学生は大手志向?


2015年採用において、話題になっているのは、学生の大手志向です。
就職情報会社各社のデータを見ても、応募数が増えているのは大手企業です。

なぜ、そうなるのか?
もともと学生は、就職活動をはじめた時点では大手企業、その中でも商品・サービスに触れたことがある企業や、CMなどを見たことがある企業しか知りません。
さらに、現在のように求人が回復する局面では、「自分も大手に行けるかも」と思い、大手企業志向になるものです。

株式会社マイナビの『2015年卒マイナビ学生就職モニター調査 12月の活動状況』によると、「先輩と比較して自分たちの就職活動がどうなるか」という質問に対して、「(かなり+多少)楽になる」という答が前年同月比18.4ポイント増の29.8%と大幅に増加しています。
「内定を取る自信」についても「(大いに+少し)ある」が前年同月比5.8ptポイント増加の49.0%です。
「企業選択の際に重視すること」に「安定している」と答えた人が、前年比6.7pt増の48.8%になっています。

求人が回復傾向で、就活に対して安心している学生が多いことが伺えます。また、大手志向とも解釈できるデータが並んでいますね。


中堅・中小に行け、ベンチャーに行けと言うけれど


いつも「中堅・中小企業にも目を向けろ」「これからはベンチャーだ」「大手ばかり受けるとはけしからん」という声が起こるわけですが・・・。
それぞれもっと丁寧に議論するべきだと思うのですね。

たしかに、大手に入るのは大変です。
大手企業に入社する人の割合は就職者のうちのだいたい1/3くらいです。
2/3は中堅・中小企業に進みます。内定も取りづらいと言われています。
大手ほど大学名によっては無理なんじゃないかという懸念もあるでしょう。

また、将来性があり、安定している中堅・中小企業があることも事実です。大手企業も経営が傾く時代ですしね。
とはいえ、大手企業は働く環境として魅力的だと言えます。
大手でしかできない仕事というのもありますし、人材育成の仕組みも整っていますし、待遇も良いです(もちろん、業界・企業によりますけどね)。

特に、業界NO.1企業というのは、そこならではの魅力があります。
リーディングカンパニーでしかできない仕事があります。
業界を、もっというと社会をどうしようかという視点で仕事ができるのは、リーディングカンパニーならではと言えます。
何より、広がる視界が違います。
NO.1企業ならではの、人材の層の厚さも感じることでしょう。

もちろん、業界NO.1企業に誰でも入ることができるわけではないですが、その魅力は今一度、確認しておくべきです。
私はラッキーなことに、業界NO.1企業2社で仕事をしたことがありますが、社会的影響力、見える視界、人材のレベルは違うなあと、離れてみて感じます。


大手を目指す学生こそ、攻めの姿勢で


ここで、大手企業、特に業界NO.1企業を目指す学生さんに特に意識してもらいたいことがあります。

それは、こういう企業に本当に入りたかったならば、その企業の立場だからこそできること、挑戦したいことを考えろ、ということです。

安定を期待してはいけません。
NO.1企業ほど、チャレンジ精神が求められるものです。
このような企業の内定者は、会社に依存するのではなく、会社を利用して何かやろうと発想するものです。

大手企業、NO.1企業ならではの、強い志望動機を考えましょう。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。