内定式ってどうなのか?「感動と違和感を大切、に」

2012.10. 2  2674Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。


内定式ってどうなのか?




10月になりました。
今日から、私も大学院の冬学期が始まります。
自分が教えている大学では、もうとっくに始まっています。


さて、10月1日といえば、内定式ですね。
新聞でもいくつかの企業の内定式が取り上げられていました。


内定式についての私の複雑な思いは昨年、このエントリーでしっかり書いたのでご覧ください。


世の中はついつい、白黒はっきりつけろという話になるわけですが、新卒採用や就活についての私の想い同様、「複雑だ」としか言いようがありません。
私は自分が内定者として参加するはずの内定式を欠席する一方で、採用担当として内定式を企画・運営するという稀有な体験をしているからです。
内定式について、ひいた視点で見てしまう立場と、人事として、採用活動の結果、入社を決断してくれたみんなを組織に迎え入れるという、両方の立場を経験しているわけであります。


昨日、砂田薫さんの内定式全廃論が話題になっていましたが、私の意見は「意味のない内定式」ならやめるべきだと思いますが、「意味のあるもの」は続けるべきだと考えています。
昨年のエントリーで想いはすべて語っていますので、ここでは新たに書きません。


そんな中、3月末まで就活の栞でライターをしていた佐野創太君(社会人1年目)が、Twitterで印象的なコメントをしていました。
内定式に参加する学生に向けてのものです。




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大事にしたい、感動と違和感




「感動と違和感を大切、に」


なるほど、これだと思いました。
その会社に本当に行きたかったかどうかは別として、社会人になるというのは、それなりの感動があるわけです。


一方で大人の社会のルールというものがあるわけで。
私も内定式の日に、内定者を叱ったことがあります。
マナーがあまりに悪かったからです。
ただ、学生は「内定者」になった瞬間、会社と社会の論理に振り回され、嫌だなと思うこともあるでしょう。
大学在籍中に「内定者」として拘束すること自体、そもそもどうなのだと思ったりするわけです。


もっとも、内定者時代はともかく、社会と会社にはルールがあります。
限りなく喧嘩に近い格闘技にもルールはあるわけで。
社会、会社で活躍するためには覚えないといけないこともあります。
エレベーターの乗り方ひとつとっても、会社にはルールはあるわけで。
守らないとみんな混乱するわけで。


ただ、よくある「社会ではこれが普通だ」というような、先輩からの説教は、全てが正しいわけではなく、実はその会社だけの論理だったりも。
中にはこうやって洗脳していくブラック企業もあります。


今年で社会人16年目になるわけですが、学生時代、嫌だなあと思っていたことがすっかり平気になっていたりします。
これは、成長しているのか、すれているのか。たまに悩んだりもします。


そういうわけで、内定式や入社式に抱いた「感動と違和感」これはずっと大事にして、たまに振り返りたいものであります。


内定式に出たみなさん、あなたの「感動と違和感」は何でしたか?
社会人の皆さん、あの日の「感動と違和感」は何でしたか?


そして、今の「感動と違和感」はどうでしょう?


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。