就活本コーナーは深い!大学生協はこんな努力をしている

2012.9. 7  2305Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




大学生協の書籍担当者さんたちに会ってきた




昨日、関西の大学生協書籍担当者が集まる会に参加してきました。
2013年度採用の総括と、2014年度採用で起こることについて、話してきました。
秋以降に発表する本の売り込みもしっかりしてきましたが...。


当日は、就活に関する本の売れ行き、立命館大学BKCキャンパス、関西学院大学上ヶ原キャンパスにおける取り組みなども聞いてきました。
いやあ、面白かったです。
と、同時に、猛反省しました。私自身、就活本のことを、まだまだよくわかっていなかったな。と。
どの大学で何が売れているか、いつ売れているか、学生が本を買う基準なども興味深かったです。


かなり生々しいデータを見せて頂いたのですが、さすがにまずいので、興味深かった話を箇条書きでお伝えしますね。


●就活本にも色々ある。例えば、自己分析ひとつとっても、読み物スタイルのもの、自己分析ノートブックになっているものなど。学生の課題に応じて丁寧に提案していかなければならない。


●売れる順番という特徴もある。例えば、SPIの本は、S社のものは、わかりやすくやさしく、Y社のものは難しめ。最初はS社のものが売れるが、徐々にY社のものが売れていく、など。


●就活本の売れ行きは大学によって異なる。例えば、SPIの本は国公立よりも私立の方が売れる(受験に数学が必要だから?就活の厳しさが違うから?)。私立の中でも売れ行きには差がある。例えば、就職ガイダンスを3年の前期にやっているか、後期にやっているかでも売れ始める時期が違う、など。


●就活関連本の売上の8割は12月頃までに確定する。その後は就活のステージを意識して売り場をかえていく。


●就職先の傾向をみて、品揃えなどを工夫している。これは就活本に限らず、進路に関する本がそう。例えば、金融機関に進む人が多い大学ではFP(ファイナンシャルプランナー)に関する本が売れる(進む人が少ない大学では売れない)。


●就活が決まった後も、進路に関する不安はあるので、ブラック企業本、倒産・解雇の時にどうするかという本なども並べるようにしている。たとえ売れなくても、意識してもらえるという効果あり。


●就活で使える手帳が、今年は昨年ほど売れていない。スマホ+アプリに移行している?


●倫理憲章の変更により就活の時期が後ろ倒しになったのだが、いきなり始まっても間に合わない。少しずつ意識してもらうように店舗での陳列、メッセージなどを工夫している。


●大学は夏休みがある。ただ、紀伊國屋書店のデータなどを見ていると、夏も3年生向けに就活本は動いている。そのため、夏休み前に一度案内する企画を組んだりしている。


いかがでしょうか。


メーカーや流通を志望する方にも参考になる話かもしれませんね。
どうやって売り場を作っていくか、どの時期に誰と売るかなど、深いですねえ。




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大学生協を活用しよう




ところで...。
大学による就活サポートと言えば、キャリアセンターを真っ先に思い出す人も多いことでしょうが、大学生協も負けてはいません。
いや、こちらがキャリアセンターなのではないかというくらい充実していることさえあります。


就活本だけでなく、文房具、ITツールなどひと通りそろいます。
大学生協が主催する合同企業説明会は大学別に、学内や大学の近くで開催され、企業との距離も近く、好評です。


特に書籍担当のスタッフは、どの本から買うべきかなどについても詳しく、頼りになりますよ。
夏休みがあけたら、まずは大学生協に行ってみますかね。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。