企業の就職ナビ離れが加速中...?新卒採用における変化とは

2012.6.25  3902Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。


2013年度採用に関する中間報告データが揃いつつあります。
私が客員研究員をしているHR総合調査研究所が先日発表した「2013年度新卒採用中間総括調査」には興味深いデータがいっぱいです。


今日はその中から、企業は就職ナビをどう活用しているのかというデータをご紹介しましょう。





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企業は就職ナビに期待しているのか?




この調査で顕著だったものの1つが、企業の就職ナビ離れですね。


就職ナビについて「これまでと変わらず中心的役割」と答えた企業が【69%→55%】へ大きく減少しました。
「今後は見直す」という回答もすべての企業規模で15~18%の割合に達しています。


この動きはここ数年感じていたことであり、特に2013年度採用の打ち合わせに参加していましたが、大手企業でもベンチャー企業でも、就職ナビは積極的に使うものに位置づけてはいませんでした。
採用する学生のランクをS、A、Bと分けたとすると、どちらかというとB層をターゲットとした施策だと位置づけています。
平等、公平を装うためという理由もあります。


企業の側ではS、A層に関しては、リクルーター、インターンシップ、ビジネスコンテスト、逆求人型イベント、ソーシャルメディアなどを活用して採ろうとしています。
特に上位校や理系の学生は就職ナビや合同企業説明会を積極的に利用しないのはデータでも証明されています。


一方、ほぼ全ての学生は就職ナビに登録します。
就活をしない学生も含めて一度は登録しますし、積極的に活用しない層も登録しなければ応募できない企業があるから登録するのですが。
多くの学生は「ナビは使うもの」と思い込んでいるから、毎年、これが繰り返されます。


このように、企業の採用活動で重視するツールと、普通の学生が使うツールはズレているのです。


これもまた、学生と企業が上手く出会えない理由ではないでしょうか。




身近な出会いを大切にしよう




では、企業が今後、力を入れる手段は何なのでしょうか?


先日、HRプロ株式会社が主催した「HRサミット2012」の会場で同社が人事担当者に投票してもらった結果は次のようなものでした。


1.就職ナビ・・・16%
2.自社採用ホームページ・・・9%
3.学内企業説明会・・・35%
4.個別企業説明会・・・23%
5.合同企業セミナー・・・5%
6.キャリアセンター・・・12%


選択肢が網羅的でないなどの問題もあり、ざっくり質問ではありますが、学内企業説明会への期待が高いことが伺えます。
そう、これは学生にとっても自分のキャンパスで企業と出会えますし、ちゃんとその大学から採る気がある企業がくるので、双方にとってメリットがあると思うのですね。


採用手段というのは絞るものではなく、1社の中で多様化していくのだと私は予測していますし、既にその流れは起こっています。
学生の皆さんは、ナビや合説だけが就活ではないことに気づいて欲しいです。


変化を感じ取れる人になりましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。