「ノーブランド大学」の就活をどうするか?

2012.6.21  5369Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




「人事はウチの大学を知っているだろうか?」という曖昧な不安




先日、多摩大学のグローバルスタディーズ学部で保護者向けに講演しました。
多摩大学自体、1989年にできた大学で比較的新しい大学です。
中でもこの学部はさらに新しく、現在6期目。
卒業生もまだ2期しか出ていません。


この学部では、英語による授業を基本としています。
英語集中教育と歴史、文化、経済学、心理学などが基礎教育科目となっています。
専門教育では、ホスピタリティ・マネジメント、インターナショナル・ディベロップメント、グローバル・ビジネスの3分野コースから選択します。授業は少人数の対話形式。
英語力と問題解決のためのスキルを同時に磨くことができます。


この日は保護者向けに、拙著『親は知らない就活の鉄則 (朝日新書) 』の内容を元にしつつ、最新のデータやファクトをご紹介。手前味噌ですが、満足度の高いセミナーになりました。






『親は知らない~』は、タイトルからしていかにも親向けですが、現在、就活で何が起こっているかが分かる、これから就活を始める皆さんにぴったりの内容になっておりますので、学生の皆さんも手にとってみてくださいね。


この日は、私の講演の他に、社会人1年目、2年目のOB・OGによるパネルディスカッションも開催されました。


司会を担当したのですが、いやー、皆さん、すっかり社会人。皆、しっかり者でした。
いきいきと働いている様子が伝わってきました。
その中で、社会人1年目の外資系企業に勤めている女性はこんな言葉を使いました。


「私たちはノーブランド大学ですが...」


なるほど「ノーブランド大学」ですか。


彼女は今、勤めている企業の最終面接で、早稲田や慶應や一橋の学生と一緒で圧倒されたとのこと。
でも、無事に内定しましたのですけどね。
同じような悩みを持っている方、いないですか?
「人事はウチの大学のことを知っているのだろうか?」という悩みです。
無理もありません。


大学は90年代に入ってから急増し、現在は約780校あります。
90年代前半は約520校ですので、大きく増えています。


大学だけでなく、学部も増えました。
有名大学だったとしても、新設学部の学生はよく「本当にこの大学、学部を選んでよかったのだろうか?」と悩んだりするものです。
早稲田大学の学生ですら、この10年くらいでできた新設学部の学生たちは「自分達は早稲田でも○○学部ですから...早稲田内格差を感じます」と言い出したりします。
また、有名大学だったとしても、エリアをこえて就活する場合は不安を抱くものです。
関西学院大学の学生から「関東の人事は、関学のことを知っているのだろうか?」と相談されたことがあります。
さすがに関学は知られていますけどね...。
でも、関学ほどの有名大学の学生でもこんな悩みを抱くわけです。


こんなことで皆さん、悩んでいませんか?




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ノーブランド大学こそ、知られざる大学生活の中身で勝負する




では、どうすればいいでしょうか?


ズバリ、自分たちの大学と学生生活について自信を持って話す、これにつきますね。


新設大学、新設学部は先生も職員も熱心です(そうだと期待しています)。
新設するだけにプログラムもユニークです。
自分がその新しい環境でいかに勉強したか、大学生活を充実させたかを語るべきです。


それこそ、いま、メディアでよく取り上げられる秋田の国際教養大学ですが、この大学もまたいきなり有名だったわけではなく、独自のプログラムを信じてやりきって、学生と教職員が一緒に社会的信頼を築いていったわけです。


企業の人事も、ターゲット校などは設定する動きがますます顕著になっているものの、一方で、多様な人材を欲しいと思っていることもホンネです。特にまだ他社が注目していない「お得大学・学部」と出会いたいなとも思っています。
実際、そんな質問もよく頂きますし、結構な有名企業が地方にある「お得大学・学部」に採用のために足を運んでいたりします。


「私たちはノーブランド大学ですが・・・」と語った彼女も、面接では留学したこと、新しい学部での大学生活のことなどを自信満々で語り、内定にいたりました。
この大学、学部に入ったことを本当に喜んでいる様子でした。


「ノーブランド大学」に通う学生は、諦めるのではなく、まず自分たちの大学生活を見直し、自信を持ちたいところですね。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。