就職率改善の向こう側、中小企業に行けば良いわけでもない

2012.5.16  2222Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




いつも明るいニュースは静かに伝えられる




文科省・厚労省が調査した今春卒業の大学生の就職率が発表になりました。


【図解・社会】大卒の就職率と内定率(最新) 時事ドットコム


93.6%となり、過去最低だった前年を2.6ポイント上回りました。
改善は4年ぶりです。
改善幅は統計を取り始めた1997年以降で最大となりました。


このデータはあくまで大学を絞って抽出した調査であり、データの取り方にも疑問点が残り、信ぴょう性が問われますが、それはこれまで何度も触れてきたので今回は割愛します。


とはいえ、定点観測しているデータではあるので、参考にはなるでしょう。


原因の一つは、求人数の回復です。
この1年くらい、人材ビジネス関係者と会うたびに話題になったのですが、新卒も中途も求人数は明確に回復傾向です。
特に大手、準大手企業が顕著です。
今後は中堅・中小企業の回復に期待したいところです。
もっとも、これらの企業は元々、人材が充足しているわけではないのですが。


今回、注目したいのは、就職率が悪化した頃ほど話題になっていないと感じることです。
あくまで感覚値ですが。
ただ、これまで就職率が悪化したときはそれこそヤフトピで取り上げられたり、Twitter上でもかなりツイートされていたのですが。
これもずっと言っていることですが、メディアも、そして個人も実は暗いニュース、かわいそうなニュースが大好きなのです。


この法則を確認しておきたいところです。




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ミスマッチ解消と言うけれど 中小企業に行けばいいというわけでもない




今回の就職率改善の要因の一つは、中堅・中小企業に行く学生が増えたことだと言われています。


ジョブサポーターによるマッチングにより高い成果をあげることができたと厚生労働省は発表しています。
就職情報会社各社のデータを見ても、中堅・中小企業の志望者は増加傾向です。
まあ、もともと最終的に中堅・中小企業に行く学生というのは、大企業のそれを大きく上回っていたのですが。


ただ、大手偏重から変化し、「ミスマッチが解消された」とか、中堅・中小企業とのマッチングが進んだと報じられていますが、本当にミスマッチは解消されたと言えるのでしょうか?
マッチングしたと言えるのでしょうか?


マッチングと言いつつ、合わなくて早期にやめていたら、それはやはりマッチしなかったと言えるのではないか、と。


そして、「中堅・中小企業に目を向けろ」というのは正論ですし、私もそう思いますが、中堅・中小企業の採用基準がゆるいわけでもありません。
さらには、採用や人材育成に慣れていない企業も多数です。


もちろん、すぐに大企業になれるわけでもないですし、大企業なみの待遇を期待してもよくないのですけど、少しでも働く環境がよくなるよう取り組むべきですし、何より、企業のおかれている状況は開示するべきです。
気をつけないと、中堅・中小企業とのマッチングというのは、単なる押し込み、押し付けになってしまいます。
ここは注意したいところですね。






ところで...。


ここからは宣伝なのですが、
大阪府とインテリジェンスがつくった『大阪優良企業就職ガイド2013』という冊子に協力しました。


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私のインタビューが載っています。
大阪府とインテリジェンスが選んだ、大阪府内の優良企業が紹介されています。
まあ、個人的には優良企業という言葉を使うのはやや気が引けたのですが。
関西の学生の皆さんはキャリアセンターなどで入手可能です。


大阪府就職マッチング促進事業共同企業体 代表構成員 株式会社インテリジェンス(TEL:06-4964-1206  イベント企画チーム)にお問い合わせ頂いてもOKです。
あるいは富士山マガジンサービスでも[大阪優良企業就活ガイド2013]で検索していただければ、入手できます。
ご参考まで。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。