予想通り混乱している2013年度就活の現状

2011.12.15  8564Views

こんにちは。常見陽平です。

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2013年度就活で心配していたことが全て起こっている件


12月1日の就活本格スタートから半月が経ちました。

今日は、いま起こっていることをレポートしましょう。
結論から言うと、いやあ、混乱していますね。
正直、学生も企業も不安でいっぱいなのがひしひしと伝わってきます。
 
オープン当日にリクナビ、マイナビなど主要サイトがつながりづらくなったことはご存知の通りです。
この日に、大量のDMが上位校の学生中心に届きました。
ただ、このオープン当日に説明会の予約などを入れまくり、年内の予定をすべて決めてしまった学生も多いようですね。
 
先週末はリクルートさんの合説が幕張メッセで開かれました。
ネットニュースでも話題になりましたね。
動員数は4万人以上ではないかとのこと。海浜幕張駅が学生でびっしり。
幕張メッセまで凄まじい行列。行った学生によると、中に入るまで3時間待ったとか。
企業も予想以上の来場者数のため、資料を追加コピーすることに。
そのコピー機は2時間待ちだったとのこと。
他の合説でも来場者多数のために、混乱することが多いようです。

やや余談ではありますが、今年は時期がズレたために、各就職情報会社が今まであまり使ってこなかった会場を使用するケースがよくあります。
これ、混乱の原因になったりするんですよねぇ。
00年代半ばにある就職情報会社が六本木ヒルズ森タワーを使用した際に、エレベーターの運用に苦労し、六本木駅まで行列を作ってしまった事件を思い出しました。

企業の方はどうでしょう。

正確な統計資料ではないので感覚値として聞いて頂きたいのですが、大手企業ではプレエントリー数が激増しており、すでに前年同時期の2倍以上になっている企業もあるようです。
人事担当者からは「これは、母集団と言っていいのか?」と疑問の声が。
一方、中堅・中小企業は明暗を分けているようです。

大学はどうでしょう。

関西の有名私大では、10月~11月の学生面談件数が対前年比なんと8倍だったとか。
学生の不安、学外セミナーなど昨年参加していたイベントがないことが要因でしょう。
12月以降の学内企業説明会は対前年比1.3倍~1.5倍の動員で推移しているとか。
あまりに学生が来すぎて、大学の中庭まで行列ができたこともあるそうです。
写真を見せて頂いたのですが、たしかに凄まじい行列でのけぞりました。

こういう事例を紹介すると、ますます学生は焦るのではという懸念もあったのですが、起こっている事実なので共有させて頂きます。

就活の長期化・早期化に対する批判や懸念を受けての倫理憲章見直しでしたが、これが本当によかったことなのかはちゃんと検証する必要がありますね。
私もしっかり調査し、発表することにします。
(既に、来年の6月に中間総括的な講演をすることが決定しております。お楽しみに。)


就活の罠にハマるな


ここまで読んで気づいた方もいるかも知れないのですが...。
ここ数年、批判されていた就活や新卒一括採用の罠に、みんなが見事にハマっているのですよねぇ。

データでは学生の脱大手志向が明らかになっていますが、実態はどうやら逆のようです。
また、一見すると公平に選考しようとする姿勢が見受けられますが、そうとは限りません。

私は2010年に『くたばれ!就職氷河期 』(角川SSC新書)を発表した際に、「就活断層」というコンセプトを発表しました。
今、起こっているのは求人数の増減による就職氷河期ではなく、学生と企業の間の致命的な断層こそが問題なのではないか、と。
企業は一部の学生しか相手にせず、学生も一部の人気企業にしか応募しない。
能力や志向のミスマッチによる断層です。
これが見事に、しかも今まで以上に深刻になっているのではないかと思っています。
 
今年の学生に対するアドバイスは、変わりません。
「悠々として急げ」です。
期間は短いですが、バタバタし、雑にならないように。
そして、自分の眼でみて、自分の頭で考えて、自分の言葉で語る。
これも変わりません。

確実に行きましょうよ、ぜひ。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。