『就活の神さま』はなぜ小説なのか?就活は試行錯誤と紆余曲折の繰り返し

2011.10.27  587Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




最新作は『就活の神さま』は青春小説です






すでに私の個人ブログ、Twitter、Facebookページでもご紹介しましたが...。


おかげ様でついに最新作『就活の神さま~自信のなかったボクを「納得内定」に導いた22の教え~ 』(WAVE出版)を発表することができました。


 


いやあ、苦労しました。数年前から小説を書きたいなと思っていました。
そして、昨年から「就活生を励ます本をつくろう」ということで構想が具体化し、小説という形式を選択。
構想中に東日本大震災やそれに伴う原発事故などもあり、何を描くべきかについて悩んだこともあります。
そして、就職難は相変わらずです。


こんな時代の若者を応援する本を書こうと思い、この本を書きました。


あらすじはこんな感じです。


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非モテ、非リア充、学生時代に取り組んだことなし......。
そんな3流大生・晃彦が、ありとあらゆる失敗をしながら成長して、
就活を乗り切っていく「青春小説」。 


彼を導いていくのは、バイト先の「謎」のカフェ・マスター、ジミーさん。
チビ、デブ、アフロでオネエ言葉。毒舌だけど温かい。そんなジミーさんは、"ジミヘン"の大ファン。
しかも、実は、お店を始める前は大手企業でカリスマ採用担当者だった?! 


就職ガイダンス、インターンシップ、グループディスカッション、エントリーシート、
就職ナビサイト、合同説明会、企業説明会、自己分析、業界・企業研 究、OB・OG訪問、面接、無い内定......。
就活の場面ごとに絶対に必要な「就活の知識・ノウハウ・マインド」を存分に織り込みつつ、二人の精神的なドラマ が進みます。 


「意識の高い学生」「時代の寵児」「自己分析のプロ」「ブラック企業社長」......。
個性豊かな登場人物と織りなす、就活実用エンタテイメント。
笑って、泣いて、元気が出る。オトナも感動必至。そんな320頁。




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苦労しましたよ、はっきり言って。
このUST番組でも話したのですが、なんせ物語の面白さと、お役立ち度の両立をどうするかに悩みましたね。
面白い話を書くのは、小説家にはかないません。
それこそ、石田衣良さんの『シューカツ! 』(文藝春秋)に代表されるように、就活を描いた小説はあったわけですし、著名小説家がつくるほどの面白いドラマを私がいきなりかけるわけがありません。
ちなみにこの小説、就活を研究するものとして資料として読まなくちゃとは思っていたのですが、影響を受けすぎるとなんなので、あえて読みませんでした。
でも、就活はそれ自体がドラマなので、ごく当たり前の就活を描くことによって何か生まれるのではないかとも思っていました。
たぶん、40万字くらい草稿を書いていますね。


ご担当頂いたWAVE出版の田中さんはベストセラーになった『働く君に贈る25の言葉 』(佐々木常夫)などをご担当された方で、物腰柔らかく、だけでも仕事に厳しい方でした。
「何を伝えたいのか」これにとことんこだわる方でしたね。


それこそ、私は腰痛が悪化したり、円形脱毛症になったりしつつ、なんとかこれを書き上げました。
憂欝じゃなければ仕事じゃないなんてタイトルの本がありましたが、鬱になったら仕事はできないとも思いましたね...。
日々の仕事をこなしながら、追い詰められつつも、この本をぜひブレークさせたいと考え、頑張りました。


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ところで、何で小説なのか?






そうそう、ところで何で小説なのかということについてお伝えしますね。
就活に関する本はたくさん出ています。


ノウハウ本(それも全体のガイドから、テーマ別のノウハウまで)から、働くマインドに関する本、社会学や教育学の視点から就活を描いたものなど実に色々あります。
私もたくさん書いてきました。


ただ...。自戒をこめて言うならば、そのどれもバランスが悪く、共感を得にくいのではないかと思ったのですね。
もちろん、それぞれの本には目的や機能があります。
社会問題としての就活を描くことも大事ですし、私もそのテーマの本は書き続けたいと思っています。


でも、普通の、多くの学生は就活に立ち向かわないといけないのですよね。
そして、テクニックだけでは人事が最も嫌いなマニュアル人間になるし、精神論だけでも救われません。


さらに言うならば、いろいろあるのが就活なんですよ。
「ブレない軸を持ちたまえ!」と言われたところで、それが持てないから困っているんじゃないですか。
ノウハウを教えられたところで、自分はどうすればいいのかが分からないのが就活です。
紆余曲折があり、試行錯誤するのが就活なんです。


これを描くためには小説しかないと思ったわけです。かなりの冒険だったのですが。


おかげ様で好評で、学生さんからもたくさんの絶賛コメントを頂いております。
濱口桂一郎先生、本田由紀先生、酒井穣さん、エステー特命宣伝部長高田鳥場さんなどにもコメントを頂いております。


魂かけました。ぜひ、手にとってください。感想もお待ちしております。


そして!出版記念セミナーを11月8日(火)に開催します
この本ができるまでを通じて、営業と企画の仕事についてわかる内容になっておりますし、質問、相談タイムもいっぱいです。


是非、おこしください!


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。