「この企業でいいのか?」入社後のギャップをなくすために、あなたがするべきこと

2011.7. 7  11260Views

こんにちは、常見陽平です。




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 「これでいいのか?」学生からも社会人からも相談メールが殺到している件
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7月になりました。学生から内定報告のメールがよく届きます。
文面から喜びがほとばしっている感じです。


以前も書きましたが、私は内定報告に対して「おめでとう」とは絶対に言いません。


内定は互いに決めることですし、内定先が人気企業だろうと大手だろうと、
別にそこに入ったからといって偉いわけでも、将来の幸せが必ず約束されるわけでもないからです。


でも、報告してくれたこと、その学生が進路を自分で決めたことについて嬉しいなとは思います。
 


一方、こんな相談メールもよくきます。


「○○社に決まったのだけど、ここで決めていいものか?」というものです。


まぁ、最終的に決めるのは本人ですし、決めるための材料も自分で集めるべきなのですが。
もちろん、初めての就職なので悩むことも多いことでしょう。
 
そういえば、最近、社会人1年目の方から
「飲みに連れて行ってください」というお誘いを頂く機会が増えました。


皆さん、入社後のギャップに直面し、戸惑い気味です。


「安定やずっと働けることを期待して今の会社に入ったが、
あまりにも体質が古い。これもどうかと思った」
「2年間は現場研修だということを知らなかった」
など、戸惑い気味の声もよく聞きます。
 
このようなギャップを解消するにはどうすればいいでしょうか?
ヒントを提示しますね。






 もう1度、4×3の視点で整理してみる
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「内定をもらった!(このもらうという表現は嫌いなのですが)」と狂喜乱舞し、
「で、どうしてその会社に行くんだっけ?」ということが不明確になっている学生がいます。


今一度、その企業のことを整理し、入社する理由を考えてみましょう。
 


以前も紹介した4×3の切り口で整理してみましょう。


企業自体の魅力、仕事の魅力、組織風土の魅力、待遇の魅力という4点、
さらにビジョン・ミッション・バリュー、強み、求める人物像の3点です。


一度、これらを整理してみると、その企業に入社する理由が整理できます。
 
さらには、今一度、志望動機、入社後の成長イメージなども整理してみるといいでしょう。






 将来の夢もいいけれど、直近はどうなのか
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「この企業で、新興国マーケットに関わる仕事をしたい」
「画期的な新商品開発に携わりたい」
 
就活のときの志望動機でよく聞くことですし、実際、そんな夢を抱いて入社するわけですけど、
実際のところどうなんでしょう。


いや、近い将来にはそんな仕事に関わることができるわけですけど、
入社して3年くらいは何をやるんでしょうかね?


実はこの部分が抜けているが故に、入社後のギャップに苦しむことが多いわけですよ。
 
「最初は営業で頑張ります」とか、これまた面接の時にアピールして、
実際、その覚悟をしている学生もいるわけですが、
入社1年目が担当する仕事ってご存知です?
どこまで仕事を任されると思います?
 
将来の夢も結構ですけど、最初は何をやるのかということは把握しておくべきことでしょう。


実際、私に悩み相談してくる学生は、
「ずっと研修で仕事らしいことをさせてもらえない」
「地味な丁稚みたいな仕事ばかりだった」
というケースが多いですね。


まあ、これらにもきっとやらせる意味はあるのだと信じたいところですが。
実際、何を任されるのか、どんな意図なのかということは把握しておいた方がいいでしょう。
 
それこそ、求人広告などに出てくる「活躍する若手社員の様子」などは、
よっぽど優秀かラッキーだった人のケースだと思っていいです。


「こんなウマイ話、ないよな」くらいの姿勢で、実際どうなのかは調べた方がいいですね。






 「すべては自分が決めたこと」この覚悟が大事
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そういう私も、新卒の頃はギャップが大きすぎて、日々悩みました。


拙著『「キャリアアップ」のバカヤロー』(講談社+α新書)に詳しくまとまっていますので、
よろしければご覧ください。


新規事業をやりたい、実力主義の環境で成長したいと思ってリクルートに入ったのですが、
希望外の配属、激しい競争の風土、激務、泥臭い仕事などに驚き、困惑しました。


社会人になる前は希望外の配属、残業、休日出勤、接待、希望外の異動や関連会社出向などは
絶対に嫌だと思っていたのですが、気付けば全部経験していたりします。


それでも、慣れてくるとそれも楽しくなってきたりすることもあるわけですが。
 
最終的には「自分で決めたこと」ということで、腹をくくることが大切だと思います。
まぁ、ギャップはあるものだと思っておきましょう。


法律に反することや、心身の健康を害するレベルのギャップはどうかと思いますが、
前向きに解釈するならば、ギャップが自分を育てることもあります。


意外な力が身についたりするものです。


私の場合も、嫌だった営業職を厳しい風土の組織で経験したことはその後の武器になりました。
 




納得するまで、調べること、最後は一歩踏み出す勇気を持つこと。これが大事ですね。



執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。