業界研究:金融業界編(銀行)

2011.1.12  49774Views

こんにちは、編集部スタッフです。

今回は業界研究 金融業界編。
まずは銀行について、ちょっと分かりづらい業界の中身を見ていきます。


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金融業界について



金融業界の全体の市場規模は、42兆7,935億円です。
お金を扱う業界であるため、総資産額は1,034兆と国家予算を軽く超えます。
(日本の国家予算は約85兆円)

金融業界は、2005年から2007年までは業績を伸ばしていましたが、
2008年のリーマンショック以降、各社の有価証券評価損が出て金融業界全体で前年割れとなりました。
2009年には、大手銀行グループや証券大手が黒字転換を果たし、危機は脱してきていますが、
円高の進行や景気回復の遅れもあり、しばらくは予断を許さない状況が続きそうです。

金融業界は、銀行、保険(生保・損保)、証券、リース、消費者金融、クレジットカードに分けることが出来ます。それぞれ見ていきましょう。

銀行の仕組み



業界の仕組みを簡単に説明します。 
銀行は預金という形でお客様からお金を預かります。銀行はその預金を企業や個人に融資するなど、
運用を行って収益をあげます。いわゆる機関投資家というものです。(他金融業も同じ)


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※出典:全国銀行協会

銀行は、都市銀行・地方銀行・その他の銀行の3つに分けることができます。

都市銀行



都市銀行とは、普通銀行の中で大都市に本店を構え、全国展開している銀行のことを呼びます。
その中でも更に大きな銀行をメガバンク(三菱東京UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ)と呼びます。
主な取引先は大企業であり、総預金残高の半分にあたる46%、総貸出残高では44.5%と金融機関の中核をなしています。

地方銀行



全国地方銀行協会に加盟する銀行であり、その多くは本店所在道府県で最大規模の金融機関で、
地域経済への影響力は大きいです。
都市銀行に比べて個人預金のシェアが大きく、定期性預金の構成が大きくなっています。
また、融資先は地場の中小企業が中心となっており、
地方自治体の公金取り扱いや債券引き受けなど、地元密着型の経営を行っています。
規模では、ふくおかフィナンシャルグループが最も大きく、次いで横浜銀行(単独ではトップ)、ほくほくフィナンシャルグループとなっています。

その他銀行



新しい形態として、ネット銀行やATM専業などの業態もでてきています。
ネット銀行は楽天銀行が有名で、10年5月にイーバンク銀行から商号を変更しました。
インターネットの電子決済の普及に伴い、順調に業績を伸ばしています。
ATM専業は、セブン&アイホールディングスのセブン銀行が堅調に伸びており、
コンビニATM専業の最大手でジャスダックに上場するなど、規模を拡大しています。

信託銀行とは



一般的に、信託業務と銀行業務の双方を行う金融機関のことを指します。
信託業務とは、財産の管理や処分を所有者以外の人に委託することを言い、
信託銀行は普通銀行が預かることができない不動産や株券、債権を預かり、
所有者に代わって管理・運用することができます。

信託の種類としては、
・金銭信託:顧客から預かった資金を手形割引や有価証券で運用するもの
・貸付信託:委託者から集めた資金を主に産業に長期的に貸付、運用するもの
・年金信託:企業や個人からの年金基金の運用
・土地信託:地主の依頼から業務を代行してビルや住宅の建築・管理・運用を行うもの
・投資信託:ファンドと呼ばれるもの。投資委託会社からの指示を受け証券投資の運用を代行
などがあり、不動産仲介や遺言信託などもあります。
顧客は富裕層を対象としており、扱う内容も非常に専門的であるのが特徴です。

業界の状況



1990年以降の長期不況の中で企業が銀行へ過度に依存していたことが問題化し、
また近年の金融の自由化と国際の流れによって、企業の資金調達の手段が多様化(社債等)、
市場から直接資金調達する直接金融の手段が増加(銀行は間接金融)しました。
そのため、法人向け(ホールセール)融資に頼っていた都市銀行は、
コンサルティング業務強化を打ち出し、特にこれまで地方銀行が強かった個人向け(リテール)サービスを強化しています。

地方銀行では、地域経済の悪化や都市銀行の個人サービス強化など、
依然として厳しい環境ではありますが、徐々に不良債権処理は減ってきており、
回復の兆しは見えてきているようです。

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