会社説明会という演劇に騙されるな!その企業の「普通」に注目してみよう

2013.12.27  2070Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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新規事業、デキる社員は「普通」なのか


12月も終わりですね。2013年が終わろうとしています。

現行スケジュールでは最後となる12月1日スタートの就活。

皆さんはどう取り組んでいますか?

企業の人事の方々と情報交換すると、学生の動きが読みにくいという話題になります。

まあ、毎年のことではありますが、早期から動く層と、ゆっくり始める層との二極化は激しいですね。

また、今年はリクナビもマイナビも掲載数が大幅に増えたので、逆に言うと、普通に考えると学生のアクティブな会員数とアクションが増えなければ1社あたりの応募は減るわけで。

応募数は企業規模、業界によりいつもの年よりもメリハリがついている感じがします。


さて、12月は会社説明会が盛んに行われました。

企業が独自で行うもの、学内での説明会、合同企業説明会など様々なスタイルがありますね。

最近のトレンドで言うと、複数の企業でコラボして行うもの、企業グループをあげて合同で行うもの、ウェブ上でのセミナーでしょうか。会社説明会は実に有益です。

企業の人から直接、話を聞くことができますし、質問もできます。

会場がその企業ということもあるので、雰囲気を味わうことだってできます。

就活仲間との出会いもあるかもしれません。


ただ、この会社説明会、気をつけて付き合わないといけません。

まあ、これは会社説明会に限らず、採用広報活動全体に言えるのですが、簡単に言うと「盛っている」可能性が極めて高いのですね。要するによく見せる工夫をしているわけです。

言ってみれば当たり前ですけど。

特に、盛る傾向が強いのが、デキる社員と、今後の展開に関する話ですね。

デキる社員は、社内からこのためにかき集めているわけです。

これは想像つきますよね。また、今後の展開に関する話も要注意なんです。

学生が興味が持ちそうな新規事業やグローバル展開の話を出すわけなのですが、これが毎年、同じネタを使いまわしていて、実際は全然していないというケースも。

ただ、学生は毎年入れ替わるので、ダマされるのですね。

まあ、実際、そういう新しい取り組みがあったとしても、その手のプロジェクトに新人が配属される可能性は普通に考えると極めて低いわけです。

会社説明会で話を聞く際は「これは普通なのだろうか?」という視点を持っておきたいですね。

「普通は何をやるのか」「誰とやるのか」という視点を


入社してから「こんなはずじゃなかった」と思わないために、意識するべきことは、「普通は何をやるのか」「誰とやるのか」という視点です。

つまり、新規事業もグローバル展開も結構ですが、普通の人は新卒で入ったらどんな部署に、どんな職種で配属されるのか、と。これこそ調べるべきでしょう。

また、すごい社員はたいてい特例です。

その企業の普通の社員はどんな人なのかという視点を持つべきです。

もっとも、これは会社説明会や就職ナビだけではわかりません。

普通は何をするのかは、IRレポートやCSRレポートを調べてみる、『会社四季報』シリーズなど、取材にもとづいてできている資料を参照するなどしてみましょう。

会社四季報 ワイド版 2014年1集 新春号 [雑誌](東洋経済新報社)


どんな人と働くのかは、社員に直接会って質問するのが一番ですが。


というわけで、「普通はどうなんだろう」という視点は、企業研究をする上で有益です。

意識しましょう。


今年もご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いします!

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。