「もう結婚では食べていけません」あなたはそれでも専業主婦になりたいですか?

2011.12.21  6032Views

こんにちは。常見陽平です。




白河桃子さんの講演を聞き、最新作を読んで考えたこと




先日、実践女子大学の講義に少子化ジャーナリストであり、作家の白河桃子先生にゲスト参加して頂きました。


白河桃子さんは19万部突破のベストセラー『「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) 』(山田昌弘氏との共著)して有名ですよね。
現在の日本における女性の仕事と結婚の現実と課題、解決策について、事例を交えながら熱く語って頂きました。
履修生だけでなく、学生や教職員が多数参加し、皆、大満足でした。
講演を聞いていたキャリアセンター長は、「この講演は、大学3年になってからではなく、低学年から聞くべきだ」と言っていましたよ。


白河さんからは、最新作の『専業主婦に、なりたい!? "フツウに幸せ"な結婚をしたいだけ、のあなたへ 』(講談社)も献本して頂きました。感激です。


白河さんの講演を聞き、最新作を拝読し、考えたこと、感じたことを書くことにします。


私が、キャリア教育科目の講師を担当する際に、最初の講義で、
「将来はどうなりたい?」
と質問するようにしています。


女子大生からよく聞く答えは
「大企業に一般職で入って、事務の仕事をして、28歳までに結婚して、専業主婦になって子供を2人産みたい」
です。


でも、大学3年生も後半になり、就活をむかえた皆さんは、もちろんこのことの難易度が高いことに気づいていますよね?
大企業の一般職事務の求人って増えているんでしたっけ?
28歳までに結婚できるのでしょうか?大婚活時代ですよね?


潜在層や一度は経験したいという層も含め、7割強の女性は専業主婦志向だと言われていますが、男性の約6割は結婚した後にもパートナーには働き続けてもらいたいと思っています。
縁起が悪いですが、離婚するリスクだってあるわけで、そのときに子供たちを自分と同じように大学に入れるにはどうすればいいでしょうか?


「私、お嫁さんになりたいんです」


毎年、大学のキャリアセンターにはこんな女子学生がやってきます。
都市伝説だと思うでしょう?
女子大ならよくある話ですし、それ以外の大学でもよくありますよ。
有名女子高に通う生徒たちに聞いても、専業主婦になりたいという答えが多数でびっくりしたと、あるマーケターは語っていました。
例えば勝間和代女史や、少し古いですが『働きマン』(安野モヨコ 講談社)になるのは「痛い!」と感じているわけです。
(フォローすると、ブログなどを拝読するかぎり、勝間さんもバイクやスカッシュを始め、趣味やゆるく過ごすことも大事にしているようですし、働きマンも仕事でバリバリ働くことに対する葛藤は常に抱いていたわけですが。)


なかなか結婚できず、配偶者の所得ダウン、離婚などのリスクもある時代です。
働かないことはリスクだということに、皆さん気づいてください。
「就活が嫌だから婚活したい」という学生がここ数年いるわけですが、甘いです。


「もう結婚では食べていけません」


このことを意識してください。




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先輩たちに学ぼう




ぜひ、女子学生の皆さんには女性の労働の現実を知ってください。
そのためには、OG訪問がオススメですね。
なんとかして、1人でいいので女性の先輩、できればアラサー女性に1ヶ月以内に会いにいきましょう。
早めに会って、現実を知ることが大事ですよ。


オススメのスポットもあります。田町にある女性就業支援センターです。
女性の労働と生活の歴史を体感できます。
今よりもずっと男女差別があった時代のこと、そしてこれからの課題までひと通りわかります。
なお、この施設は元々「女性と仕事の未来館」というものでした。
「事業仕分け」にあい、これまでとはかなり異なる環境で運営中です。
事業仕分けとは何だったのかを目撃してきてください。


さらに。
今月の日経 WOMAN (ウーマン) 2012年 01月号 [雑誌] はウーマン・オブ・ザ・イヤー特集号です。
活躍している女性が勢ぞろいです。
ぜひ、買って読みましょう。
もっとも、ここに出ている以外にも活躍している女性はたくさんいるのですが。


まずは、白河さんの新作を読むことをオススメします。
現実を直視した上で希望が見えてくるはずです。
しかし、白河さんの取材量、半端無いです。圧巻です。


そして、女性の仕事と結婚に関する問題は、女性だけの問題ではありません。
男性こそ意識しましょうね。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。