業界研究:旅行・観光業界編

2011.1.28  11166Views

こんにちは。ライターのYOHEYです。

業界研究についての話題をお送り致します。
今回は、サービス業の中でも人気の高い旅行の業界について業界の動向をお伝えします。

旅行業界そのものを紹介する前に「日本の観光全般の市場」について言えるポイントを述べて、
それから各業界についての話をしていきます。
これは、旅行に限らず、余暇に対するサービス業全般に言えることなので押さえておきましょう。

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観光市場のポイント


 リーマンショックによる景気の低迷により国内での余暇に対する消費が落ち込みを見せているために、国内の需要は頭打ち状態にあります。
よって、訪日外国人の囲い込みや、海外展開等が需要獲得のための今後のキーとなっています。
平成21年度の訪日外国人旅行者数は、世界経済の低迷、円高、更には新型インフルエンザの流行などの影響から、前年に比べ約156万人少ない679万人と大きく減少。

また、日本人海外旅行者数については8月以降は燃油サーチャージの廃止等により回復基調に転じたものの、景気後退による個人消費の落ち込み、新型インフルエンザの感染拡大などのマイナス要因によって前年に比べ約54万人少ない1,544万6千人となりました。

■ 「レジャー白書2010」によると、平成21年度の余暇活動参加人口の1位が「ドライブ」であり、高速道路の値下げの恩恵から、「安・遠・短」志向が加速。景気悪化の影響とされています。


旅行業界とは


まず、旅行会社は大別して4つのタイプに分かれています。(【】内は以降の表中の省略形)

◆【既】 「既存系」 : JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、HISなど
◆【航】 「航空会社系」 : ANAセールス、ジャルツアーズ、ジャルパックなど
◆【メ】 「メディア販売系」 : 阪急交通社、クラブツーリズムなど
◆【ネ】 「ネット系」 : 楽天トラベル、じゃらんネット、一休.comなど


現状


観光庁によれば、2009年度の旅行総取扱高は5兆5402億円(前年比-14%)であり、シェアで見ると、JTB(26.0%)、近畿日本ツーリスト(6.9%)、阪急交通社(6.4%)、日本旅行(6.3%)、楽天トラベル(5.9%)...と続いています。

2010年度は2009年ほどに消費が落ち込みはしないと予想され、総取扱高は増加する兆し。
特に、最近の旅行業界で注目すべきは、上記4系統のうちの「ネット系」です。
最近では、ネットでの予約で簡単にプランが組めるようになり実店舗での手続き(既存系)が減少。
ネット系の旅行会社が格安でプランを提供するなど価格競争が激化しています。

旅行業界図表1.png
※クリックすると大きな画像になります。


ネット系は、楽天トラベルを除けば、旅行取扱高ベースで極めて大きい企業はまだ少ないが、近年数を伸ばしてきています。
楽天トラベル以外には、海外旅行系である「地球の歩き方T&E」(伊藤忠商事)や「予約.com」(比較.com)、「エイビーロードネット」(リクルート)など、旅行を専門に取り扱わない会社の運営が目立つようになりました。

こうした動向を受け、業界最大手のJTBを中心にwebと店舗の融合を図る「クロスチャネル戦略」を展開。
既存店とインターネットの強化に乗り出しています。


今後の展望


現状からの今後の旅行業界の変遷は以下の3点がポイントになるとされている。

◆観光立国の実現に向け、訪日外国人誘致のために予算を拡大したり中国人の個人観光ビザの規制緩和を実施するだど、行政側の取り組みが本格化。

◆海外旅行会社との提携。

◆個性的なツアーによる差別化で価格競争を回避(団塊の世代にも注目)。

これは業界全般の流れにすぎず、最近のネット企業の参入から旅行の業界はめまぐるしく変化しています。
そのときどきのリアルタイムな情報を得るためにも、実際に違う系統の複数の企業の社員の方々とお話ししてみることをお薦めします。

また、観光に関しては政府が大幅に関与してくるため、国土交通省が発表する「観光白書」や、より細かいレベルで見るのであれば日本生産性本部の発表する「レジャー白書」などによってチェックすると良いでしょう。

「観光白書」 国土交通省
「レジャー白書2010」 公益財団法人 日本生産性本部


またお会いしましょう!

では!


YO!!}(・∀・)/(・∀・)/{HEY!!

(ライター:YOHEY)
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