学生と社会人、新聞の読み方をどう変えるべきか?

2014.10.22  218Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

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学生にとって、新聞は「ニューメディア」



突然ですが、皆さん、新聞を読んでいますか?

最近では、朝日新聞の誤報(捏造)問題が話題となっていますし、メディアとしてこれから生き残ることができるのかという声もあるわけですが、とはいえ、新聞は情報源としてはまだまだ有効だと感じています。今、読むべき情報が凝縮されています。優秀な記者が足で稼いだ情報を、可能な限りオープンに、かつわかりやすく届けているわけです。

ネットの時代になっているわけですが、とはいえ、企業において幹部となっている40代、50代は新聞から情報を得て意思決定しているわけで。大人の世界に入るためには、新聞というものは読まざるを得ないと思っています。特に日本経済新聞は、好き嫌い、良い悪いなどを超えて、読まざるを得ないわけです。

新聞社の方とお会いした際によく話題になるのですが、今の学生にとって、新聞というのは「ニューメディア」なのですよね。多くの学生にとっては、就活をキッカケに初めて読むわけです。なお、新聞社は1990年代までは人気だったのですが、最近はさすがに不人気です。そもそも接点がないわけですからね。ここ数年、全国紙を中心に新聞社の人事とお会いし、意見交換することがありましたが、採用には苦労していますね。

ここでは、まず、新聞というものが業界としては先行き不透明感がありつつも、とはいえ、読んでおく価値があるということを確認しておきたいです。



社会人は新聞をどう読むか



今回のこのコラムでは、学生までの読み方と、社会人になってからの読み方はどう違うかということを考えることにします。

就活生が新聞を読む目的は、主に社会のことを知るため、業界・企業研究に活かすためが中心だと思います。社会人になってからは、自分のビジネスや、キャリアにいかに活かすかという視点がより重要になります。ニュースを読むたびに、その背景を考えつつ、次に起こりそうなこと、自分のビジネスに関係ありそうなことを考えます。

例えば、このたびKDDIがnanapiなどネット系ベンチャー企業10数社に出資や買収をしかけました。同じように大手企業がベンチャー企業に出資する動きは今後、ないか。その際、買収する企業、される企業に自分が担当している商品・サービスはどう活きそうか、商談のチャンスはないか、などと考えるわけです。取引先企業の社長、社員インタビューは、その企業を理解するのにそのまま役に立つ情報です。

新聞は、新規の営業先の開拓にも有効な情報源です。余談ですが、リクルートにいた頃は、新聞からビジネスのチャンスを探せということをよく言われました。何か記事が出るたびに、私も電話していたわけですが「リクルートさんから電話がくるのは、これで今日、◯件目だよ」などと言われたものでした。

内定者の皆さんは、まだ卒業まで時間があるわけですが、少しずつ、この社会人モードの読み方を意識しましょう。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。