ミュージシャンに学ぶ仕事術!やりたくないことをやりたいようにやる

2012.7.27  5667Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




「やりたいことやっているミュージシャンなんていないよ」




夏です。夏と言えば、夏フェス。
そういえば、今日からフジロックが始まっています。
私にはミュージシャンをしている友人・知人が結構いて、何人かが今年も出演しています。
夏の野外でビールを飲みながら聴く音楽は本当に気持ちよいものです。
フジロックには行けませんが、SUMMER SONICか、その前夜祭的なイベント、ソニックマニアに行こうかと思っています。


さて...。
ミュージシャンといえば、いかにも自由な生き方のように見えますが、これもまた仕事です。
好きな音楽をやっているかのように見えますが、レコード会社や事務所と契約している場合はその方針が関係します。
メンバー間の意見の違いももちろんあります。
さらに、ファンからの要望が逆に彼らを束縛するものになることも。


そう、メンバーとしてはもっと変化したいのに、昔から演奏している代表曲のような曲を望むファンが逆に彼らを悩ませることもあるわけです。


私の友人のミュージシャンも、大学卒業後、親が望まないフリーターになり、音楽活動に没頭しました。
元々の才能と努力もあり、彼のバンドは定期的に出演しているライブハウスの動員記録を塗りかえ続けました。
いくつものレコード会社や事務所からメジャー・デビューの話がきたのですが、ここで彼は挫折します。
音楽性やビジュアルを変えてくれという依頼ばかり...。
嫌気がさしたこともあり、彼はバンド活動をいったん休止することにしました。
その後、バンドを再開するのですが、家庭の事情でメンバーのうち2人が脱退。
1人は親が病気のために地元に戻りました。
1人は結婚か音楽かという選択を、交際相手の家族から迫られ、結婚を取りました。
長年一緒にやってきたメンバーには会うと辛くなるので電話で連絡。


たくさん所有していたギターを1本だけ残し、ネックを叩き折ったそうです。


友人はその後、そのバンドをリニューアル。
インディーズで活動を続け、CDをリリースしつつ、全国をツアーして演奏しています。
国内外のフェスにも出演しています。


そんな彼がある日、飲みの席で私に言いました。


「やりたいことができて、食べているミュージシャンなんていないよ。せいぜい日本に10人くらい。
そして、インディーズでやっている奴が辞める理由は金か女だ(ここでは、生活を取るという意味で言っています)」


いかにも好きなことをやっているように見えるミュージシャンにも色々ありますね。




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やりたくないことを、やりたいようにやる




夢を壊すような話をしてしまいました...。
でも、話には続きがあります。


それでも音楽を楽しみつつ、活動を続けている人たちはいます。
言ってみれば、レコード会社や、ファンが期待することに応えつつ、自分のやりたいことをやるわけです。


どういうことでしょう?


それは、例えば、曲はいかにも売れ筋であり、サビなどもカラオケ向けであるものの、ところどころのリフやフレーズ、音作りで自己主張するわけです。


最近、Amazonのマーケットプレイスやブックオフで昔売れたCDを中古で買う機会がよくあります。
数百円なので、レンタルで借りるより安いのですよ。
PCに取り込むよりも、やはりCDの方が音質はいいですし。


昔、いかにも売れ筋の商業的な音楽だとバカにしていたものを聴くと、新たな発見があります。


「いかにもカラオケ向けなのに、演奏はアバンギャルドだ」
「こんな過激な音だったの?」


といちいち発見があるわけです。


インタビューなどを読むと、海外のアーチストなどから影響を受けていることが分かり、「やっぱりか」と思ったりするわけです。


この件、実は企業社会も一緒なのですね。
残念ながら、やりたいことを全部できる企業はなかなかありません。
希望外の配属になったり、やりたくない仕事を任されたり。
そんなことの繰り返しです。


ただ、これは気をつけないと精神論にしか聞こえないのですが、このようにやらされた仕事を、自分流にこなすことも、サラリーマンの醍醐味なのですね。


私はサラリーマン時代も、そして今も、仕事は断らない方なので、やりたくない仕事を受けてしまうことも正直あるわけですが、1ミリでもいまやりたいこと、自分の色を込められるように工夫しています。


やりたいくないことを、やりたいようにやる。
ミュージシャンもサラリーマンも共通したテーマです。


ところで...。


やりたいことってなんです?


やりたいことしかやりたくないと言いつつ、やりたいことがわからない人が多かったりするのですよね。
まずはやらされたことから始めるのも手ですよ。
ヤル気なさそうに聞こえるかもしれませんが、やらされてみて、天職に気づくこともあるわけです。


別にやりたくないことに全服従しろと言っているわけではありません。
物事を柔軟に見てみましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。