就活は内定が出て終わりではない!その会社に行く覚悟はありますか?

2012.4.11  19314Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。






内々定ラッシュなのだけど


4月です。
倫理憲章の見直しにより、本格スタートが12月からとなった2013年度採用ですが、いよいよ4月1日の選考解禁日を迎え、大手も内々定を出し始めました。
まぁ、3月にとっくに出していた会社もあるのですけどね。
信託銀行に内定した学生は、私の誕生日である4月4日に内定報告をしてきました。4日で選考を終えるだなんて、やっぱり金融機関の方は仕事がデキるということでしょうか?
いや、もちろん事前に選考を進めていて、この時期に一気に最終選考をし、内定を出すのですけどね。
中には本当に倫理憲章を律儀に守っていて、選考をこの時期から始める企業もありますが、こういう企業も一気に畳み掛けるように内定を出すわけです。
選考の時期や対象はかなり多様化してきていますが、大企業を中心にみると、この時期に集中しています。


今年は倫理憲章の見直しにより、学生も企業も様子見でした。


とはいえ、内々定出しラッシュの時期を迎え、各社で駆け引きが行われています。
内々定の受諾を迫るなんていう光景も25年前とまったく変わっていません。


特にここ数年、感じているのは「内定の重み」が感じられない企業が増えていないかということです。


早稲田大学出身で最近、大手企業を退職し起業した20代後半の方によると、大学の後輩の就活相談を受けていたところ、その女子学生はここ数日にあれよあれよといううちに大手の鉄道会社、通信会社、金融機関から内定が出たとのこと。
逆にうまくいき過ぎて戸惑ってしまっている様子でした。
これだけ簡単に内定が出ると不安になりますよね。
まぁ、軽く内定を出す企業はよく逃げられるわけですが。
ちなみに、この軽い内定出し、ブラック企業の採用の象徴でしょうね。


内々定が出た人は浮かれている場合じゃありません。
その企業に行くべきなのかをじっくり考えてもらいたいですし、覚悟を決めなければなりません。




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あらためて、その企業に「再就活」してみよう






「その企業に行くべきかどうか?」


悩んでいる皆さんは、もう1回、就活をする気持ちでその企業に関する「業界・企業研究」、就活を終えようとしている自分の「自己分析」をすることをおすすめします。
今の時点での自分の志望動機は何なのかを書きだしてみるといいですね。


特に企業研究においては、「企業の特徴」「仕事の中身」「組織風土の特徴」「待遇」の4つの視点で情報を整理するということに取り組んでみるとよいでしょう。
これは岩松祥典氏の『採用力を確実に上げる面接の強化書 』(翔泳社)に登場する、採用担当者が企業の魅力を伝える際のフレームワークを学生向けに転用したものです。


1.企業の特徴:
社長はどんな人か。創立して何年か。どんな事業をしているのか。業績の推移はどうか。平均年齢はどうなっているか。顧客企業はどのような業界・規模の企業か。


2.仕事の中身:
任される仕事の中身はどうか。求められる力は何か。キャリアパスはどうなっているか。どんな力が身につくのか。


3.組織風土の特徴:
社長との距離はどうか。男女比はどうなっているか。男女別の管理職比率はどうなっているか。どんな空気の会社か。何を大切にしているか。どんな人が評価されるか。


4.待遇:
モデル賃金はどうなっているか。30代の平均年収はどうなっているか。各種手当はどうなっているか。教育・研修の制度はどうなっているか。勤務地はどこか。


特に日本で働く場合は「組織風土の特徴」を重視するべきです。


故・津田眞澂一橋大学名誉教授の著書『日本の経営文化―二十一世紀の組織と人 (Minerva21世紀ライブラリー) 』(ミネルヴァ書房)でも指摘されていますが、日本の企業においては「空気」が重視されます。
組織の風土が自分と合うかどうかは気持ちよく仕事をする上で大事なのです。
テニスサークルでも、体育会以上に練習するサークルもあれば、練習と飲み会のバランスが取れているところ、さらにはラケットのいらない遊びサークルまで色々ありますよね。
同じテニスをやるにしても、「ノリが合うか」ということは重視していることでしょうか。
企業選びもまさにそこが大切です。
長く気持ちよく働きたいと思うなら重視するべきポイントです。これを再整理してみましょう。


何社か内定が出たなら、この切り口で比較してみるとよいでしょうね。




職場としての会社






さらに、職場として考えるならば、「ビジョン・ミッション・バリュー」「強み」「求める人物像」これも再整理してみるとよいでしょう。


1.ビジョン・ミッション・バリュー:
何を目指している会社なのか。何を使命として定義しているのか。どんな価値を創造し、提供しているのか。そこに共感できるのか。


2.強み:
どんな独自性、優位性のある強みを持っているのか。その強みの源泉は何か。今後も競争優位を保てそうか。


3.求める人物像:
どんな人材を求めているのか。どんな人が合っているのか。必要とされる能力は何か。


強みに関していうと、その企業が継続的に競争優位を保つためにどんな取り組みをしているのかをチェックするべきです。
求める人物像に近いですが、内定者懇親会などで他の内定者をみてどう思うかも大事なポイントですね。




その会社は最初に入るべき企業か?






個人的には、最初に入る企業は次のポイントにこだわるべきだと思います。


1.仕事は大きいか?
自分に任される仕事、創ることができる仕事が大きいでしょうか?
 
2.誰とやるのか?
一緒に仕事をする仲間が優秀かどうか、さらに多様でしょうか?
 
3.進化、変化し続ける組織か?
変化に対応できる組織と人間だけが生き残る時代です。
 
4.成長の機会が多様か?
仕事そのものも、研修、さらにはプロジェクトなど、成長の機会が多様かどうかは確認しておくべきです。
 
5.「当たり前基準」が高いか?
最初の企業はここが大事です。若いうちから高い「当たり前基準」を体感しておくと、人生ひろがります。






ご参考まで。




内々定が出てからが大事です。
よく考えて、決めてくださいね。


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執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。