業界・企業説明は志望動機ではありません

2011.1.20  19540Views

こんにちは、常見陽平です。

「貴社は、食を通じて人々の生活に役立っています。
貴社に入社し、営業担当者として、日本の食生活を豊かにしたいです」


食品メーカーを受ける人によくありがちな志望動機です。
申し訳ないですが、まるで説得力がありませんね。
誰でも言えますね、これ。自分の言葉になっていませんね。

食品もその中でビール、清涼飲料水、お菓子、調味料などカテゴリーが分かれるわけですが、どの企業でも言えそうですね、これは。

しかも、すべての企業に落ちてしまいそうな志望動機です。

意地悪な言い方をすれば「食品業界なら、どこでもいいのです。拾ってください」
と言っているようなものです。

昔、お笑い芸人ヒロシのネタで、
「ヒロシです。誰でもいいから彼氏が欲しいと言っている女性にふられたとです」
というのがありましたが、これに通じるものがあります。

気づけば、ヒロシ同様、あなたの存在も多数のエントリー者の中で埋没してしまいそうです。


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まともな志望動機は1割程度...?


 
たくさんのエントリーシートを読み、面接をしてきたわけですが、「志望動機」をまともに書ける人、言える人はなかなかいません。

エントリーシートを読んでいて、志望動機の要件を満たしているのは約2割。

説得力があるなと思うのはその半分です。

つまり、まともな志望動機を書けているのは1割くらいだということになります(乱暴な試算ですが)。


 

業界・企業説明になっていないか


 
志望動機は、あなたと私(企業)が一緒に働くとお互いにハッピーになる理由だと思います。

この例で言うと、「漠然とした片想い」と「漠然とした、仕事を通じた社会貢献」しか書かれていませんね。

さらには、「業界内の企業ならどこでもいいもの」になっていますね。
これでは意味がありません。

業界・企業説明は志望動機ではないのです。


志望動機を書くために意識したいこと


 
「その企業ならでは」の志望動機を書くために、ぜひ意識したいのは、その企業の「強み」と「求める人物像」です。

「強み」については、業界内の競合他社と比較しての独自性・優位性がポイントとなります。

「求める人物像」は、求人広告に書いてあることだけでなく、
「どんな社員が活躍しているのか?」
「これから、どんな社員が必要だと思うか?」
という視点で考えてみてください。

もちろん、「強み」にしろ「求める人物像」にしろ、OB・OGに会って「取材」を行い考えた方がいいに決まっています。

さらに、「この会社が好きだ」だけではなく、「この会社で活躍したい(できる)、成長したい(できる)」ということが伝わると良いですね。



さいごに


 
業界・企業説明を書いただけの志望動機は、路上で声をかけまくるナンパに限りなく近いです。

いつの間にか、「モテない人」、いや「愛されない人」にならないないように気をつけましょう。
 
 

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。